普通の親たちにとっては、何とも情けない思いに違いない。
以前から問題になっていた学校給食費の未納対策で、津山市教委が新年度から小中学生の全保護者に支払いの誓約書を求めることにした。「学校給食費が保護者の負担であることを理解し、期限までに納付することを約束します」との内容だ。
津山市の場合、未納は百十三人分で計九十八万八千円余り(二〇〇六年度)。事情はあろうから、未納者イコール無責任な親という決めつけは危険だが、払えるのに払おうとしない親は実際にいる。まずは誓約書で自覚を持たせる狙いという。
自治体の対応はさまざまだ。給与差し押さえなど法的措置を打ち出す大阪市、支払いを求めて提訴した北海道根室市、連帯保証人付きの支払い確約書を求める長野県伊那市など。津山市も六カ月以上の長期未納者には法的措置を講じ、給与差し押さえなども検討するという。悪質な未納者に対しては強硬姿勢で臨むべきだ。
一方で考えたいのは子どものこと。三カ月滞納で給食停止とする町もあるというが、実際にそんな場面が起きたら子どもは…。水戸市の小学校では未納家庭の児童を教員が名指しし、クラス全員の前で「(給食費や教材費の)未払いが一万円余りになる」と発言した。
昭和四十年代の給食で育った世代には、今の豪華で多彩な給食はうらやましい限り。最近では「食育」の観点が加わり、命や農や環境を考える場でもある。そんな時間が大人の都合でゆがめられないよう祈るばかりだ。
(津山支社・道広淳)