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車庫の段ボールに1万円札びっしり 相続税脱税事件

2008年03月11日

 脱税容疑発覚のきっかけは、父親の死後、大阪国税局が清水容疑者宅に強制調査に入り、段ボール箱の中から札束を見つけたことだった。隠し場所は住宅の車庫。相続税逃れが巧妙化する中、国税局職員は「単純すぎる」とあきれている。

写真現金が段ボール箱に入って見つかった清水容疑者宅の車庫=11日午前、大阪市生野区で

 昨秋、清水容疑者の自宅に強制調査に入った同国税局査察部の職員は目を疑った。2階建て住宅の1階部分に設けられた車庫。白いシャッターで閉ざされた内部に、山積みにされた数十個の古い段ボール箱があった。中には1万円の札束がぎっしり。帯封がついたまま虫食いやカビが生え、保存状態が劣悪なものもあった。一部は機械で読み取れず、集計に数日かかった。

 関係者によると、清水容疑者の父親は戦後まもなく、不動産担保金融や無許可のタクシー事業に成功。大阪・ミナミの11階建てテナントビルのほか、大阪市生野区に複数の駐車場やマンションを所有していた。長女だった清水容疑者は病気で長期療養していた父親の世話をしていた。

 過去の相続税の脱税事件では、現金を無記名の割引債券などの形に変えて遺産を隠す手口が多く、近年では海外の金融機関に送金して脱税するケースも増えている。現金を自宅に隠していた今回の手口について、国税局幹部は「単純だが、現金を隠されると把握が難しい」。

 11日朝、清水容疑者は一人で暮らす大阪市生野区の戸建て住宅から特捜部の係官に任意同行された。近所の男性は「植木の剪定(せんてい)も自分でやっていて、生活は派手ではなかった」と話した。

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