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【社会】

「途上国」定義、見直しを 政府、ポスト京都で意見書

2008年3月11日 朝刊

 政府は10日、地球温暖化対策のための京都議定書第1約束期間(2008−12年)後の新たな枠組みづくりに向け国連に提出した意見書の内容を明らかにした。「議定書は改善すべき点が多い」として「先進国」「途上国」の定義の見直しなど、気候変動枠組み条約改定を視野に入れた内容。欧州連合(EU)の反発は必至で、北海道洞爺湖サミット(主要国首脳会議)に向けた国際交渉での波乱が予想される。

 意見書は、今月31日からバンコクで開かれる「バリ・ロードマップ」第1回会合に向け提出された。

 今年1月に福田康夫首相がスイスの世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)で提案した「クールアース推進構想」を基礎にまとめられた。今後10年から20年の間に、温室効果ガスの排出の上限に収まるよう削減対策を行い、現在から50年までに排出半減の実現を掲げている。

 また、電力や鉄鋼など温室効果ガス排出量が多い業種を中心にエネルギー効率を計算し、それを積み上げて国別の総量削減目標を定める「セクター別アプローチ」を提案している。

 その一方で、「法的問題の検討」として、今後の新たな枠組みの中で、途上国の範囲や要件の明確化を要求。議定書の定める基準年(1990年)の見直しに加え、米国、中国を温室効果ガスの「主要排出国」と位置付けてこれらの国の参加が確保される必要性を指摘している。

 さらに、議定書が採択された当時のEU加盟15カ国が全部合わせて単一の削減目標を持っていることを問題視し、「国単位の責任が不明確」として見直しを求めた。

 日本を含め、約190カ国からの意見書は条約事務局でまとめられ、バリ・ロードマップ第1回会合で協議される。4月4日の最終日に結論文書が採択される予定。

<意見書のポイント>

▼世界全体の温室効果ガスの排出量を今後10−20年で減少に転じ、2050年に半減させる。

▼基準年は公平の見地から見直しが必要。

▼各国で革新的技術開発のロードマップをつくり、一定期間後に検証。

▼主要排出国は、省エネ設備の普及率など部門別の排出削減量を算出し、それらを積み上げて国の目標を設定する。

▼削減の対象分野は鉄鋼などエネルギー多消費産業、発電、その他産業、民生、輸送、農業、林業、廃棄物の8部門。

▼世界全体のエネルギー利用効率を20年までに30%改善。

▼次期枠組みでは主要排出国の参加を確保する。

 

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