平成20年1月23日(水曜日)14時〜14時40分
文部科学省18階 宇宙開発委員会会議室
| 宇宙開発委員会委員長 | 松尾 弘毅 |
| 宇宙開発委員会委員 | 青江 茂 |
| 宇宙開発委員会委員 | 池上 徹彦 |
| 宇宙開発委員会委員 | 野本 陽代 |
| 宇宙開発委員会委員 | 森尾 稔 |
| 文部科学省研究開発局長 | 藤田 明博 |
| 文部科学省大臣官房政策評価審議官 | 藤嶋 信夫 |
| 文部科学省研究開発局参事官(宇宙航空政策担当) | 片岡 洋 |
文部科学省研究開発局宇宙開発利用課長 |
中川 健朗 |
| (説明者) | |
| 独立行政法人宇宙航空研究開発機構月・惑星探査推進グループプログラムディレクター | 川口 淳一郎 |
| 独立行政法人宇宙航空研究開発機構有人宇宙環境利用プログラムグループ宇宙環境利用センター長 | 田中 哲夫 |
委3−1について、独立行政法人宇宙航空研究開発機構(川口月・惑星探査推進グループプログラムディレクター)より報告があった。
【池上委員】
学会との関係はどうなっているか。
【JAXA(ジャクサ)(川口)】
ILEWG、IMEWGというのは、IPEWGとも性格が少し違う。ILEWGはシンポジウム形式であって、いわばプレナリーな会を開くということで、サイエンス・アッセンブリに近いものであるが、IMEWGの方は、これはエージェンシー間の代表で構築されていて、メンバーは十数名から20名程度で、これはエージェンシー間の相互協力について協議する委員会形式である。
今回開催のIPEWGについては、両方の機能を持たせることが必要だと思っていて、プレナリーにおいては、科学成果に関して情報交換や探査の構想を情報交換する場とし、それに加えてエージェンシーの代表の参加を求めて国際協働,たとえば実際のデータの蓄積・配信であるとか、共同ミッションの機会を模索しようというような調整も図ろうとも検討していて、両方の機能を持たせたいと考えている。
【池上委員】
ここで論文等を発表すると、例えばドクターを取得しようとするときにリファーできるのか。
【JAXA(ジャクサ)(川口)】
それについては直接には難しいと思うが、これを踏み台にして関係の学会等に投稿ねがい,そこでパブリッシュしていただくことで貢献できると思っている。
【池上委員】
今回、アメリカの参加が多かったということなのであるが、聞くところによると、NASA(ナサ)全体としては科学関係の予算が減っているという中で、NASA(ナサ)の研究者がたくさん来たというのはどのような感じなのか。
【JAXA(ジャクサ)(川口)】
いろいろな面があると思うが、先月もNASA(ナサ)の科学局長が来日してJAXA(ジャクサ)と協議をしていて、国際協働を探る動きが直接に語られ、NASA(ナサ)は国際協働に向けて積極的なかじを切っているということが一つである。
それからもう一つは、始原天体、特に地球接近の天体に関しては、パブリックの関心がかなり高いということがあげられる。これは科学的関心もそうであるが、スペースガードないしは、地球・人類社会、文明への脅威にあたるということで,社会的にも対応が必要だということが米国パブリックの関心事となっている。また,NASA(ナサ)は、月に続く有人探査はむしろ火星よりも地球接近天体の方が容易だという構想を表明したりしていて、そういう観点で関心があったということであろう。
【松尾委員長】
「日本がサンプルリターンを中心にすえた始原天体探査計画を検討していることが大きな求心力になったと考えられる」とは何のことを言っているのか。
【JAXA(ジャクサ)(川口)】
「はやぶさ」後継機の計画で,我が国が幾つか始原天体探査計画をプロポーズもしているところであり、とりわけ欧州に関しては,コズミックビジョンというESA(イサ)科学探査プログラムの中で、協働で始原天体探査の提案をしていて,非常に大きな関心を寄せられていることが背景にある。その提案では,ヨーロッパ側は、主・従で言うと従の方を担当する.
【松尾委員長】
必ずしも他のロケットを探すように言われているのは「はやぶさ2」の話だけではないのだと思っておけばいいか。
【JAXA(ジャクサ)(川口)】
他国のロケットを探すかどうかは別として、はやぶさ-2をはじめ,はやぶさ後継機に,国際的に強い関心が寄せられていることである。いわば大変なラブコールを受けているということである。
委3−2について、独立行政法人宇宙航空研究開発機構(田中有人宇宙環境利用プログラムグループ宇宙環境利用センター長)より報告があった。
【青江委員】
ロシアのソユーズで行く。有償か。
【JAXA(ジャクサ)(田中)】
KARIはロシアに打上げ、滞在の経費を支払ったと聞いている。
【青江委員】
有償であるか。
【JAXA(ジャクサ)(田中)】
はい。有償である。
【青江委員】
「きぼう」を韓国にも利用してもらうとして、その際は有償か。
【JAXA(ジャクサ)(田中)】
今回の協力検討は、どちらかと言えば無償で相互利用を実現できないかという形。
【青江委員】
何でそういうふうにするのか。とにかく先方に、自分たちの実験装置を作って「きぼう」に持っていって、そこで設置して使ってみようという意欲が出てきたわけである。そうしたら、有償でどうぞお使いくださいということでは何でいけないのか。
【JAXA(ジャクサ)(田中)】
韓国サイドとしては、日本と共同で使いたいという提案があったので、それをまず検討するということでやっている。なお、韓国が自分の実験を独自で使いたい、韓国だけで使いたいという要望があれば、当然、有償という形になってくると思っている。
【青江委員】
今回の初期の段階は、独自で利用するというところまでは行っていないということか。
【JAXA(ジャクサ)(田中)】
韓国側からは、共同でやりたいということで提案いただいている。
【青江委員】
日本側にとってメリットは。
【JAXA(ジャクサ)(田中)】
実験装置をどのようなものにするかは、日本と韓国の科学者の要望に基づいて設定していこうというのがこの目的であって、この装置が使えれば、日本の実験実施にも役立つということで協力できるのではないかというのがこの内容である。
【青江委員】
日本の研究者が持っている関心テーマ、テーマそのものが日本のこの「きぼう」を使ってのサイエンスのテーマ、いろいろやろうとしている。それは一定の競争条理にある。それはきちんとしたスクリーニング、その場での競争にたえるものか。
【JAXA(ジャクサ)(田中)】
もちろん、そういう内容になると思っている。今回の日本側の実験内容については、今後、日本の科学コミュニティの評価を得て最終的に判断すると予定している。
【青江委員】
それには日本側にも一定の費用が当然かかる。それで、対価をいただけば本当は入ってくる。その分を足して、それだけのお金をかけても日本のサイエンス・コミュニティのレビューをパスするものだという保証はできるか。要は日韓協力だからといって下駄を履いたサイエンスのテーマではないのか。
【JAXA(ジャクサ)(田中)】
日本の研究者の実験内容については、日本できちっと評価して競争にたえ得るものであるという確認をして実施する予定である。
【青江委員】
日本の研究者の実験をやるのなら、そのテーマは必ず費用との関係で、日本のサイエンス・コミュニティのフラットな競争にたえ得るものというものでなければやらないということになっているのか。
【JAXA(ジャクサ)(田中)】
はい。当然、費用対効果という考え方が入るとは思う。
【青江委員】
それはどういう意味か。
【JAXA(ジャクサ)(田中)】
今回、我々の一つの実験を実施していくために必要となる、そういうような実験機会というものが確保された段階で、どう実施していくかというのが宇宙実験の進め方になっているし、今回は新しい実験装置が利用可能な場合には、それを日本の科学のフラットな評価の中で選んでやっていくというふうに考えている。
【森尾委員】
韓国が開発する小型実験装置というのは、まだ決まっていないのか。
【JAXA(ジャクサ)(田中)】
まだ決まっていない。
【森尾委員】
今の御質問とも関連するのだと思うけれども、日本のサイエンス・コミュニティが将来実験したいと思うことがいろいろある中で、JAXA(ジャクサ)がある一定のレベル、限られたスペースとかあるだろうから、レベル以上のものを選択して優先権を与えて実験するというふうにされると思うのだけれども、それと同じように韓国が提案される実験装置を本当に実行するかどうかも同じレベルで判断してされるのか。
【青江委員】
韓国がやることについては、それは勝手にやってもらえばいいが、一方、正当な対価をいただいたらいいのではないかと思う。無償だというのだったら、それだけの日本側のこの実施するテーマ、これが日本のいわゆるサイエンス・コミュニティのこの中で、平場でちゃんと勝ち残れるようなバリューの高いものであれば、それはそれで共同で無償。お互いに利益が要るから。それならどうにかセーフだと。そうでなければ、有償にしなくてはならない。
【JAXA(ジャクサ)(田中)】
はい。そのような進め方でいきたいと思っている。
【松尾委員長】
APRSAFのワーキンググループで、それぞれ接触している。それとはどういう関係になるのか。最後はやはりバイの話になってしまうのか。
【JAXA(ジャクサ)(田中)】
APRSAFで実施の検討をしている協力には多分二つフェーズがあって、一つは、トライアル的に経験を積むという、非常に小さなリソースの中でそういうような経験を積んでいただくという、どちらかというと促進的な話。今回の韓国との協力はイコールパートナーとして協働して、ハイレベルな研究協力ができないかというところが検討のスタートである。
【青江委員】
APRSAFにおいて、ある国に対して、「支援」というアプローチの仕方は、それはそれで一つあると思うのである。まさに今言われたとおり、イコールパートナーとしてやろうというのだったら、それはそれのやり方がある。だから、そこのところはきちんとしてくださいと言っているわけである。
【JAXA(ジャクサ)(田中)】
はい。明確に分けて、今回、イコールパートナーとして、研究内容についても両国の研究コミュニティが、きちんと必要性、実施意義を判断したものになれば一緒にやろうということでフィージビリティースタディをしようと思っている。
【池上委員】
よくわからないのは、今回のフライトのための協力協定の話なのか、それとも「きぼう」まで展開した話なのか、これはどっちなのか。
【JAXA(ジャクサ)(田中)】
日韓協力の席上で、宇宙飛行士に関する協力を合意した際に、ちょうど同時期に具体的なJEM利用に向けた検討についての協力の合意もやったので、あわせて報告させていただいた。
【池上委員】
カメラはなぜ使い方までいろいろ注文をつけて、貸すのか。韓国の飛行士が勝手に撮るというのでいいではないか。何か理由があるのか。
【JAXA(ジャクサ)(田中)】
何を撮っていくかというのは、あらかじめ決めておかないと宇宙飛行士も困るので、このカメラを使ってどういうものを撮るというのは、あらかじめ決めるというのが普通である。そういう意味で何を撮るかということをあらかじめ日韓で調整して決めたというふうに御理解いただきたい。
【池上委員】
もちろん、彼が自由に撮るものもあるわけか。
【JAXA(ジャクサ)(田中)】
韓国として、もちろん、あると思う。
【青江委員】
これは日本の税金を使った施設なのである。これを無償で使わせたるのはいかがなものか。
【池上委員】
国際協力という話であれば、今かけた金と、その使い方によってお互いの協力関係がさらに深まるということのリターンとを考えていくと、何がいいかについては、そう簡単にはいかない。
【青江委員】
だから、そこはきちんと整理をして使い方を決めなければいけない。
【池上委員】
表現の仕方が問題かもしれない。要するに全部事細かに決めてこうしろと言っているわけではないだろう。
【JAXA(ジャクサ)(田中)】
そんなことはやっていない。お貸しして、我々としてもその得たデータを活用したい。そのためには、こういう内容は撮ってくださいということはお願いしている。
【池上委員】
放っておいても日本の技術は評価されるわけだから、いろいろ押しつける必要はないのであって、むしろ使う側の韓国の最初の宇宙飛行士の立場に立って、彼が韓国人から拍手されるような使い方をしてもらうというようなことも十分配慮してあげなければいけない。
【JAXA(ジャクサ)(田中)】
もちろん、韓国としてはこういう使い方をするということで予定しているし、今、先生がおっしゃったようになっていると理解している。
【松尾委員長】
逆の質問になるが、禁止条項はあるのか。
【JAXA(ジャクサ)(田中)】
例えばその画像を使う際にいろいろな著作権の問題だとか、肖像権の問題が生ずるので、そこは画像を使う前にきちんと評価する必要があると思っている。そこは、ルールを作って対応している。
なお、今回、撮ったデータについては、直接ヒューストンの方にダウンリンクすることも考えているし、撮ったテープを韓国が持ち帰るということを考えている。一部リアルタイムでやるという記事が出ていたのであるが、今のところリアルタイムでやるという予定はない。
特段の質疑はなかった。
【以上で議事は終了】
(研究開発局参事官(宇宙航空政策担当)付)