[旅田卓宗の言いたい放題]

一言メッセージ :今更この年齢になって誰に遠慮もいるもんか!

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[旅田卓宗の言いたい放題] 134

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   【僕は無実だ!上告趣意書全文掲載】
(12月13日から28日に掛けて掲載しております)
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【林真須美からラブレター】

市議会事務局に僕宛の手紙が届いた。

差出人を見ると大阪市在住の人で林真須美と書かれていた。

全く覚えがなかった。

あるとするなら全国的に余りにも有名な、

和歌山カレー事件の犯人とされている林真須美である。

事件は平成10年夏、和歌山市園部地区の夏祭りの会場で、

自治会が自治会員に振る舞ったカレーライスにヒ素が混入され、

4人の尊い子供達の命が奪われ多数の人々が入院した事件として、

約半年間全国の話題をさらった大事件である。

結局捜査はヒ素をもって保険金詐欺を働いたとして林真須美が逮捕され、

引き続き殺人犯としても彼女は逮捕された。

現在1審2審共死刑判決を受け最高裁で審理中である。

ただ逮捕当時から捜査関係者の間で

彼女はやっていないのかも知れないとの奇妙な噂が流れていた。

確かに彼女はヒ素を所有していたし自分の夫にヒ素を徐々に食べさせ、

傷害を与えた詐欺事件は本人も認めていたが、

夏祭りのカレーライスにヒ素を混入した殺人事件については否認していた。

捜査当局は結局状況証拠だけで起訴し、

判決も推定有罪の死刑判決を受けたのである。

あくまでも犯人であろうという推測による判決であった。

マスコミは警察からリークされた情報に基づき大騒ぎした結果、

彼女を犯人だと誰もが信じたし僕自身も信じているが、

今冤罪被害者の立場にある僕は警察が事件をデッチ上げ、

作り上げてゆく現実を自ら体験しているが故に複雑な思いだ。

例えばある人が友人を訪ねて行ったところ、

友人が殺害されている現場に遭遇する。

そこへ別人が訪ねて来て犯人にされてしまう事も有り得るからである。

捜査当局は第1発見者を疑えというのが大原則だ。

発見したが故に犯人にされてしまう場合もあるからである。

今、林真須美を救う会が弁護士らで組織され、

活動しているとの話は聞いていた。

その会が今月の16日に市民会館で長野県サリン事件で、

犯人に警察から一時されていた河野義行氏を講師に招き

「和歌山カレー事件を考える人々の集い」を開催するという。

その会に獄中から林真須美が直筆で

「是非参加して助けて下さい」と僕にラブレターを送って来たのである。

さあ~どうしたものだろう?

参加すべきか否か悩んでいる。

最近チャンポンデートのお嬢さんも冷たいし、

ラブレターなんて何十年も貰っていないから僕の心は揺れている。

でも被害者の心情を思うと、

例え冤罪被害者の河野義行氏の講演を聞きに行く為であったとしても、

僕は大きく批判を受けるだろう?

いったい僕はどうすればいいだろう?

ペペンペンペン~

「私は保険金詐欺はした。しかしカレー事件はしていない。

私は金儲けにならない事はしない」

週刊誌に書かれていた彼女の言葉が妙に迫真をもって思い出される。

ペペンペンペン~

=========[獄中作(小説)]==========
【その世から覗いた僕の女遍歴】 [D子の場合]
    (純愛) 6 (旅田卓宗)
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結ばれたあと、彼女は僕の耳元で囁くように言った。

「私どうしょうかと思って、廊下で三時間も立っていたのよ。」

D子は恥ずかしそうに、そう言ってクスッと笑った。

「丁度フスマを開けてくれたとき、私もう諦めて

部屋へ戻ろうかなって思ったときだったのよ」とも言った。

もし僕がフスマを開けるのを一瞬ためらい遅れていたなら

僕達は永久に結ばれないままになっていたかも知れない。

その意味ではD子の場合もやはり運命的だったと言えるだろう。

半年後、D子と僕は結婚した。

希望を出して大阪支店へ転勤したのを機に結婚することにしたのである。

身内だけのささやかな結婚式だった。

D子も僕も派手な結婚式を望んでいなかった。

狭いマンションながらも幸せな結婚生活がスタートした。

僕達二人に静かでゆったりとした幸福な時が流れた。

しかし、そのような平和な日々は長くは続かなかった。

半年ほど経った頃から少し様子が違ってきた。

それは僕の方からではなくD子の方であった。

D子が二週間に一度ぐらいの割りで土曜の夕方から

京都の実家の料理屋へ手伝いに行くようになった。

帰って来るのは日曜の午後である。

やがて二週間に一度が毎週のようになった。

ついには金曜から行くようになり帰るのが月曜になるのが

毎週のように続くようになった。さすがに僕も不審を抱き始めた。

D子に好きな人でもできたのだろうかと疑い始めた。

時々強く詰問するようになった。そのたびにD子は否定した。

否定されるたびにより不審が強まっていった。

そしてついに耐えられなくなり僕は爆発した。

「いったいどうなってしまったんだよ。好きな人でも出来たんじゃないのか!

正直に言ってくれよ!僕はもう我慢できないよ!」

思わず大きな声で怒鳴りつけてしまった。彼女の頬を平手で打った。

打った瞬間「しまった!」と後悔した。 でも遅かった。

D子はムッと表情を厳しくし唇を噛み締めた後、

ひと呼吸おいてゆっくり重々しく口を開いた。

いつもの冷静な表情に戻っていた。

冷静というよりは冷めた表情に豹変していた。

キチンと正座し居住まいを正すようにして両手を畳につき

仰々しく頭を下げて口を開いた。

「ごめんなさい。どうか別れて下さい」

僕の表情がみるみる凍りついていくのが分かった。

彼女はただその一言を喉の奥から絞り出したあと沈黙した。

僕は愕然とその場にしゃがみ込んだ。

「急にどうして・・」

僕の問いにD子は答えようとはしなかった。

堅く閉ざされた口元と妙にすわった彼女の目が僕の胸に突き刺さった。

(D子に男ができたんだ!)と悟った。

「勝手にしろ、出て行け!」

僕はD子に殴りつけるように吐き捨てて夜の街に飛び出した。

やけっぱちになり飲み歩き、初めて出会ったスナックのママと

ラブホテルに転がり込んだのである。

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