山口県光市の母子殺害事件の差し戻し控訴審で被告の元少年(26)の
死刑回避を訴える弁護士への「懲戒処分請求」が論議を呼んでいる。
同事件で殺人罪などに問われている被告の元少年は、1、2審で無期懲
役判決を受けたが、最高裁は07年6月に破棄。広島高裁での差し戻し控
訴審で、弁護団は強姦目的や殺意を否認している。<毎日新聞>
弁護団の論拠は、<被告は、自分が中学1年の時に自殺した母への人恋
しさから被害者の主婦に抱きつき甘えようとしたもので、強姦目的では
ない。騒がれたので口をふさごうとしたら誤って窒息死させた。
死後に遺体を犯した行為は、「生」をつぎ込み、死者を復活させる儀式
だった。長女は泣きやまないので首に紐をまいてリボンの代わりに蝶々
結びにしたら、死んでしまった。どちらも殺意はなく、傷害致死罪に当
たる>だといわれている。
これが被告自らの主張か、あるいは弁護団による論旨なのかは判らない。
が、そうだとしても、どうもホラー映画のストーリーみたいで、奇異に
受け取った人も多いだろう。
ところが、大阪弁護士会の橋下徹弁護士(38)が、「元少年被告の弁護
団が許せないと思うなら一斉に懲戒請求をかけてもらいたい」とテレビ
出演(5月27日読売テレビ)して発言したことから、事態は急転。
放送後、各地で弁護団への懲戒請求が相次ぎ、その数は4000件を超えた
そうだ。無論被告弁護団の弁護士4人が、このテレビ番組での発言を巡
って損害賠償請求訴訟を起したのは、ご承知の通り。
しかし橋下弁護士は、<「差し戻し審でなぜ大きく主張を変えたのか、
被害者や社会に分かるように説明すべきだ」と述べた上、「刑事弁護は
ここまでやっていいのか、と思えば弁護士会への信用は損なわれる」と
反論した>(読売新聞)という。
ところで事案は全く異にするが、この「要職者に対する懲戒請求」が、
別の舞台で進んでいることが、関係者らの証言で明るみに出た。
実は本欄で、「中古・老朽マンションの明と暗」を掲載している。全国
的に新築マンション市場が昨今冷え込み出したことで、中古・老朽マン
ションの売買に人気が集まり、その結果、大規模修繕でマンション価値
を上げる工事費の全国市場が、今や“9兆円”に上ることを取り上げたも
のだった。
ところが問題なのは、この大規模修繕のために貯めてきた膨大な積立金
を如何に無駄なく、効率的に使うかという最も大事なノウハウや技術専
門知識を、肝腎のマンション管理組合(住民)が持ちえていないことが
最大のネックである。
住民の無知に付け込み、積立金を使い切ろうと企むマンション管理会社
や1級建築士コンサルタント会社が暗躍、住民側とのトラブルが全国的
に蔓延しつつある「暗」の実態を紹介、警鐘を鳴らした。
ところが、なんと大阪市内の830余戸の大型中古マンションで、その「暗」
の実態が現実化していることが明るみに出、1級建築士の「懲戒請求」
にまで発展していることが分かったのだ。
内情は、その団地住民である1級建築士が、管理組合の施設委員という
立場を利用して、自分が所属する伝統と権威のある建築協会組織の仲間
の業者らを、この団地の大規模修繕を委託するコンサル会社に選定する
役割を果たしていた疑いが、関係者らの調べで浮上してきた。
関係者らによると、このコンサル会社は、小規模業者でしかも大型団地
の大規模修繕の実績は無いという。しかも同社は、同団地の積立金12億
円を上回る14億円の工事費をはじき出した上、管理組合と締結した業務
委託契約では、出来高を要求しない中間払い契約を約束させ、修繕設計
完成案を未だに提出していないのに、これ迄に既に661万5000円も受取
っていたそうだ。
幾つもの疑惑を感じた団地住民は、大阪の弁護士を通じて上記著名協会
東京本部の会長宛に、このこの疑惑の真相解明と共に、同1級建築士と
その仲間の倫理規定違反行為に対する「懲戒請求」を申し入れる文書を、
この9月11日提出した。
早い話、社会的に信用度が高い専門要職にある者が、職務権限を乱用し、
遵守すべきモラル規定に反する行為を頻発すれば、被害を蒙るのは無知
な市民であり、この場合は団地住民である。
大阪での1級建築士の疑惑問題は、姉歯耐震偽装事件やアパホテル耐震
偽装問題とは、また異質な要素を孕んだ事態だが、全国的に蔓延りつつ
ある中古大型マンションをターゲットにしたハゲタカ新建築業軍団台頭
の前兆であることには間違いなく、恐らくこれに類するトラブルが、全
国的に発生することは予想に難くないだろう。(了) 07.09.13
by 二代目弥右衛門
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