全国で昨年1年間に救急搬送された重症患者のうち、3・9%にあたる1万4387人が、医療機関に3回以上受け入れを断られていたことが11日、総務省消防庁の初の実態調査でわかった。
地域別では奈良、東京、大阪の3都府県が10%を超えるなど、首都圏や近畿圏に集中。搬送先が限られる地方よりも、病院の数も質も比較的充実している都市部で受け入れ拒否が恒常化している実態が浮かび上がった。
調査は、昨年12月に大阪府で救急患者が病院に受け入れを相次いで断られ死亡した問題を受け、全国の消防機関を通じて実施。入院3週間以上と診断された重症患者のうち、転院搬送などを除いた36万8226人について調べた。
受け入れを3回以上断られた例があったのは福井、島根県以外の45都道府県。10回以上の22都府県1074人のうち、614人を東京都が占めた。受け入れが決まり、搬送を開始するまでの時間は、30分以上が1万5656人。1時間以上が1721人で、2時間以上も153人いた。東京都では4時間13分かかったケースもあった。
医療機関が受け入れを断った理由は、医療機器や医師の不足などによる「処置困難」が22・9%で最多。以下、「満床」22・2%、「(医師が)手術・診察中」21%の順だった。
都市部に救急搬送の拒否事例が目立つことについて、総務省消防庁は「病院数が多いため要請を拒否される件数が増えるほか、病院同士で『あちらの病院の方がいいのではないか』と“けん制”し合っているのでは」とみている。
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