◇来月から
精神科の外来患者の自己負担額が4月以降、5分以内で診療(再診)が終わった場合、約1000円も安くなる。08年度の診療報酬改定で、時間に関係なく算定されていた「通院精神療法」が5分を超えたケースのみ加算となるためだ。厚生労働省は理由を「薬を安易に処方するなどの『3分診療』を減らし、精神医療を充実させるのが狙い」とするが、患者と医師の双方から「安くするため治療を受けず、かえって薬だけを求める患者が増える」と逆効果を心配する声が上がっている。
診療報酬(再診)は現在、診療時間に関係なく病院が3300円、診療所が3600円。今回の改定で、診療時間が5分超~30分未満は病院3300円、診療所3500円、30分以上は病院、診療所とも3600円になる。5分以内はただで、患者の自己負担分(3割)は現行と比べ、病院で990円、診療所で1080円がかからない計算になる。
しかし、日本精神科病院協会などは時間の要件を設けることに反対する。大阪精神科診療所協会の渡辺洋一郎会長は「時間で料金が変わることは患者に緊張感を与え、診療の抑制につながる」と批判する。大阪精神障害者連絡会の塚本正治事務局長は、うつ病で通院する立場から「患者は家族に迷惑をかけている意識もあり、費用を抑えようとしがち。信頼関係のある医師なら診療時間が短くても効果はあるが、なければ長いと苦痛だ。治療時間の長短で評価するのはおかしい」と話す。
厚労省医療課は「患者が薬だけを求めても、医師は必要なら精神療法を適切に実施してほしい」と話している。【玉木達也】
毎日新聞 2008年3月9日 大阪朝刊