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「竹島の日」〜領有権問題 なお重く

2008年02月23日

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約500人が出席して開かれた記念式典=県民会館で

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横断幕を掲げながらデモ行進する韓国の市民団体メンバー=松江市殿町で

 3回目を迎えた「竹島の日」の22日。領有権問題をめぐる日韓の対立が続くなか、県などが主催する記念式典の出席者からは、解決に向けて日本政府により積極的な対応を求める声が相次いだ。大勢の警察官が警戒にあたった会場周辺では、今年も韓国の市民団体が抗議活動を実施したが、目立った混乱はなかった。

■松江で記念式典/「政府は積極的対応を」■

 記念式典が開かれた県民会館(松江市)の会場入り口には、金属探知機のゲートが置かれ、手荷物の預かり所も設けられた。

 式典は午後1時に開始。民間など約40団体でつくる「竹島・北方領土返還要求運動県民会議」の会長を務める福田正明・県議会議長が、国際司法裁判所で竹島問題を解決する動きが進んでいないと指摘し、「国会での議論とともに、政府の積極的な対応を望む」と訴えた。「竹島領土権確立県議会議員連盟」の細田重雄会長は「国の動きは鈍く、道はまだまだ険しい」と述べた。

 式典後、県がホームページ上に開設した「Web竹島問題研究所」の所長を務める下條正男・拓殖大教授が講演。文献を示しながら、1905年に日本が竹島の編入を決めたことは侵略にあたらないと説明した。

 講演を聴き終えた松江市鹿島町の田中芳秋さん(88)は「国を挙げて竹島問題に取り組んでほしい」と話していた。

 県民会館のロビーには今回初めて、竹島関連のグッズを販売するコーナーが設けられた。休憩時間には大勢の人だかりができていた。

■資料室、特別展示始まる■

 県民会館近くの県庁舎内にある「竹島資料室」では22日、竹島にかかわる地図や絵図などの特別展示が始まった。この日は約50人が見学。会場では、韓国の市民団体のメンバーと「Web竹島問題研究所」のスタッフが、議論を交わしていた。

 竹島の記された江戸時代の地図や、日露戦争時の竹島の記録、公文書など計30点が並べられた。1階ロビーには、竹島近海に生息していたアシカのイラスト10点が飾られた。

 市民団体のメンバーは、展示資料の地図の着色されていない竹島を指して、「竹島は韓国固有の領土」と主張。同研究所のメンバーは「地図の色は領有権の根拠にならない」と反論していた。

 同資料室職員の杉原隆さん(69)は「展示資料がもとになって多様な議論がわき起こり、竹島問題の関心が高まってくれたらうれしい」と話した。

■韓国市民団体、抗議デモ■

 記念式典が開かれた県民会館や竹島資料室の周りでは、韓国の複数の市民団体が抗議活動を繰り広げた。

 このうち、「大韓民国独島守護全国連帯」は警戒する警察官に取り囲まれながら、崔在翼(チェ・ジェ・イク)・代表議長ら4人が「竹島の日」に反対し、韓国の領土と主張する内容の横断幕を掲げて行進。竹島は韓国固有の領土とする冊子やビラを配って歩いた。

 同団体は、条例の廃止を求める抗議文を知事に手渡すため、県側に面会を要求。県職員らが混乱を避けるため、同館前で文書を受け取った。

 その後、同団体は同市内のホテルで会見を開いた。崔代表議長は「条例制定時に比べて両国の関心が低くなっていると感じるが、今後も竹島が韓国固有の領土であることを広める運動を続けていきたい」と話した。

 また、県民会館の記念式典会場には韓国の2団体が報道機関として入場。このうち、ソウルの市民団体「独島守護隊」のメンバーは、韓国の領有権を主張する内容の冊子を持っていたことから、県側がいったん受付で待ったをかけた。県職員との押し問答の末、冊子などをホールに持ち込まない条件で中に入ることを認められた。

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