世界の消費者に学ぶ2008年03月11日 日本の自動車産業は世界の市場から多くのことを学んできた。欧米をはじめ世界に完成車を輸出し、現地ならではの消費特性やニーズ、日本で想像できなかったクレームにこたえながら製品を改良し、世界販売トップシェアを獲得した。 世界販売を始めた数十年前、日本の自動車メーカーは先進国市場では当たり前の長距離走行や高速走行時の性能、新興国市場特有の悪天候や悪路走行時の品質を確保できず、多くの失敗に直面した。だが、この失敗を次の成長の糧にし、日本メーカーは世界で販売シェアを拡大してきた。特別の秘策はなく、市場ニーズを正面からとらえ、製品づくりに反映させたことが成功の理由だった。 世界の自動車産業界では、世界市場に挑戦し続ける企業と、特定の国や地域への販売依存度の高い企業とで、製品力に格差ができつつある。依存度の高い国や地域の規制緩和が進み、一気に販売不振に陥った自動車メーカーは少なくない。 だが、世界市場で成功を続けてきた日本メーカーが今、最も頭を悩ましているのが日本市場対策だ。市場ニーズにこたえる様々な製品を提案しているが市場が動かない。日本の停滞に対し、アジアや中近東など新興国市場の伸びが大きいため、日本の消費特性に対応した企画や設計上の優先度も低下傾向にある。 日本の市場は成熟期に入って久しい。自動車不要のライフスタイルや少子高齢化と人口減少懸念。携帯電話料金やデジタル家電購入などによる世帯あたりの自動車関連支出の低下などマイナス要因が目立つ。 改めて、日本の消費者ニーズをゼロから見つめ直し自動車の開発にいかす必要がある。例えば、「もったいない」というコンセプトを体現する耐久性に優れた車。買い替えサイクルを延ばし、販売増に逆行しそうな提案とはいえ、一考の余地がある。(窯) PR情報バックナンバー |
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