財政再建策や地方での政策論争が注目された第16回統一地方選挙の市町長選・市町議選は22日、投開票された。日胆管内は室蘭市長選と4市・7町議選が行われた。一騎打ちとなった室蘭市長選は現職の新宮正志氏(71)が組織票を手堅くまとめ4選を果たした。新人の川畑悟氏(36)は若さと民間出身を訴え、現職への批判票や浮動票を取り込んだが及ばなかった。室蘭市議選は新人4人がすべて当選、現職3人が敗れた。室蘭市長選の投票率は67・3%だった。
室蘭市長選は現職の新宮氏が手堅く組織票をまとめ逃げ切り、4選を果たした。川畑氏は民間出身と若さを訴える一方、現職批判の受け皿となり善戦、激しく追い上げたが、現職の牙城をあと一歩崩せなかった。
経済、労働界が相乗りし、共産を除く主要政党すべてが推す新宮氏は、いわばオール室蘭での支援体制を生かした組織選挙を展開したのが当選要因となった。共産以外の市議候補との連動も奏功した。
多選や高齢批判を背景に昨年暮れの出馬表明以降、健康や4期目を新しいスタートと位置づけるなど、課題払しょくに全力を注いだ。マニフェスト選挙を意識し、公約に年次目標を設定、新人との差異を明確化した。
8年ぶりの選挙戦で陣営の緩みが危ぐされた。序盤は予想以上の現職批判が表面化。道議選登別市選挙区での現職落選もあり、陣営は中盤以降に方針転換。オルグや電話作戦による引き締めを本格化させ、突き放した。
任天堂を退社して挑戦した川畑氏は2月の出馬表明以降、中学時代の同級生や高校OBら知人を頼りに支持層を広げた。「しがらみのなさ」を強調し、勝手連的広がりに期待した。
イメージ戦略から現職批判は控え、実務経験に基づく教育論や市政への費用対効果の考え方導入などを訴え、対立軸とした。若さを前面に掲げ商業界や中高年女性らに浸透。共産票など批判票も1定程度取り込んだ。
しかし、出遅れと知名度不足が最後まで響いた。対立軸を争点化しようとしたが、知名度不足や政策発信力を補うのに必要な勝手連や組織レベルの広がりが小さく、最後は現職の厚い壁に跳ね返された。
【写真:選を果たしダルマにV字を入れる新宮正志氏=22日午後10時40分、室蘭産業会館】
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