現在位置:asahi.com>社会>その他・話題> 記事

新銀行東京 元代表に損害賠償請求検討 都の責任触れず

2008年03月11日02時57分

 東京都が1000億円を出資し、経営難に陥っている新銀行東京の津島隆一代表執行役は10日夕、記者会見し、開業時の代表執行役である仁司泰正氏(67)=07年6月退任=について、会計士や弁護士を交えた調査委員会で損害賠償請求を検討する方針を明らかにした。この日公表された同行作成の内部調査報告書でも、仁司氏について「極めて強い権限を持っていたことなどから、他の執行役以上に損害に対する相応の責任を求めることが適当」としている。

 都も仁司氏ら旧経営陣の責任を追及する方針だが、旧経営陣の反発も予想される。

 報告書では「代表執行役(仁司氏)等がデフォルト(借り手の債務不履行)の危機的状況を認識した05年度末の時点で抜本的対策が実行されていたら、現在の経営状況は一変していた」と指摘。損害の範囲について「06年度に実行した融資から生じたデフォルトの損害は旧経営陣の判断の責任が大きい」とした。

 仁司氏はトヨタ自動車出身で、ゼネラル・モーターズとの合弁事業に携わり、豊田工機専務、豊田通商監査役を務めた。総合商社トーメンでは副社長として経営再建を指揮。企業再建や財務に詳しいことから招かれ、04年6月に同行トップに就任。開業2年余で経営難の責任を取り退任した。

 津島氏によると、仁司氏は「当時は融資残高が足りないとの批評もあり、借り手の立場に立って貸していこうという気持ちでいた」と話しているという。

 報告書は都の責任については言及がなかった。会見で、仁司氏を代表執行役に推薦した都などの責任について質問が出たが、津島氏は「それについてはふれません」と答えを避けた。

PR情報

このページのトップに戻る