厚生労働省は10日、人工透析や手術時に血が固まるのを防ぐ抗凝固製剤「ヘパリンナトリウム」について、米国から原薬を輸入して製造・販売している▽扶桑薬品工業▽大塚製薬▽テルモ--の3社が自主回収を始めたと発表した。同じ原薬を使った米バクスター社の製剤の副作用報告が米国内で多発したのを受けた措置。日本での健康被害は、今のところ報告がないという。
回収するのは米ウィスコンシン州の「SPL社」が原薬を作った製剤で、原料となるブタ由来の成分は中国から輸入された。米国食品医薬品局によると、バクスター社の製剤は昨年12月以降で448人の副作用報告があり、うち21人が死亡。原薬にはヘパリンと似た別の物質が混入しており、同社も回収を始めている。
今回の措置で、透析用のヘパリン製剤は流通量の半分以上が回収対象になり、3社は別の原薬による供給を急ぐ。代替品がない場合、医療機関は回収対象の製剤を使うことになるが、米国で副作用報告が出ているような短時間の大量投与は日本では通常行わず、厚労省は危険性は極めて低いとみている。
毎日新聞 2008年3月11日 東京朝刊