広島赤十字・原爆病院(広島市中区)は十日、入院していた六十代の男性患者が、ベッド脇にある転落防止用の二つの柵の約六センチのすき間に首を挟まれて心肺停止となり、十一日後に死亡する事故があったと発表した。
病院によると、二月十七日午後十時四十分ごろ、柵(幅約九十センチ、高さ約四十二センチ)のすき間に男性が首を挟まれているのを巡回中の看護師が発見。低酸素脳症による呼吸不全で二十八日に死亡した。
男性はパーキンソン病で、寝たきりの状態からようやく座れるようになっていた。約二時間前の巡回時には眠っており、異常はなかったという。病院は、男性が座った姿勢のまま横に倒れたとみている。
会見した土肥博雄病院長は「思わぬ事故でたいへん遺憾。六センチのすき間に挟まる想定をしておらず認識が甘かった。第三者を入れて事故の検証をする」と述べた。
ベッドと柵はパラマウントベッド(本社・東京都)製。経済産業省によると、昨年五月以降、介護ベッドの転落防止柵に首を挟まれるなどした事故は全国で計六件発生し、四件で死亡。出雲市でも今年一月、同様の死亡事故があった。
同社広報室によると、柵のすき間を埋めるカバーを無料配布。同病院でも、患者の動作に応じて看護師の判断で使用しているが、男性には必要ないと判断していた。病院側は今後、カバーの使用基準を示したマニュアルを作成、看護師や医師への注意を徹底して再発防止に努める。(野田華奈子、渕上健太)
【写真説明】 広島赤十字・原爆病院の入院患者が死亡した事故と同じ種類のベッド。中央の柵のすき間に首が挟まれた=10日午後、広島市中区
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