全国公私病院連盟(竹内正也会長)と日本病院会(山本修三会長)は3月10日、「診療報酬改定点数表」の説明会を開催した。質疑応答では、「入院時医学管理加算」、「医師事務作業補助体制加算」、「妊産婦緊急搬送入院加算」に関する質問が多く寄せられ、講師を務めた厚生労働省保険局医療課の宇都宮啓企画官が回答した。
【関連記事】
入院時医学管理加算など改めて届出を
緊急搬送加算、要件に「受診3か月なし」
2008年度診療報酬改定を告示 質疑応答では、▽外来管理加算、▽入院時医学管理加算、▽医師事務作業補助体制加算、▽妊産婦緊急搬送入院加算――などの質問があり、宇都宮企画官が回答した。
このうち、おおむね5分を超える説明が新たな要件になった「外来管理加算」について、「5分には待ち時間を含むか」との質問があった。宇都宮企画官は「患者と医師とのコミュニケーションを前提とするので単なる待ち時間は含まないが、4分55秒なら駄目という意味ではない」と説明した。
「入院時医学管理加算」については、多くの質問が寄せられた。同加算は、勤務医の負担を軽減する取り組みを評価する点数として、現行の「入院時医学管理加算」の要件を廃止して新たに設けられた。
同加算を算定するには、外来を縮小する体制を確保することが必要となる。具体的には、退院患者数と治癒(ゆ)した患者数が直近1か月間の総退院患者数の4割以上とされている。ただし、外来化学療法などの患者を「総退院患者数」から除くという例外がある。
この例外の「外来化学療法または外来放射線療法にかかる専門外来」の意味について、「外来化学療法科という診療科を設置する必要があるか」との質問があった。これに対し、宇都宮企画官は「そこまでは求めていない」と答え、特別に専門外来を設ける必要はないとした。
さらに、「化学療法」の意味については、「単に抗がん剤を投与するという意味ではなく、化学療法の委員会をつくって、委員会が病院として認めたレジメン(治療計画)に基づいて行う場合」と回答した。
また、算定要件の1つとして、「全身麻酔の患者数が年800件」との要件に加え、放射線治療(対外照射法)、化学療法について年間4,000件以上を「満たすことが望ましい」とされている点について、「1件は患者の人数か、治療行為か」との質問があった。
これに対し、「同じ患者でも何回もする場合があるので、それを1人と数えてしまうのは少し違う」と答え、件数は「治療の回数」を指すとした。
■ 医師事務作業補助体制加算
勤務医の事務負担を軽減させるため、補助者(医療クラーク)を配置した場合に評価する「医師事務作業補助体制加算」について、医療クラークの雇用形態について質問があった。
宇都宮企画官は「専従であれば、派遣社員などの非常勤、アルバイトでも良い」とした上で、「請け負いの形態は駄目」と改めて強調した。
医療クラークの配置に必要な6か月間の研修は「オンザジョブトレーニングで良い。特別にどこかにこもって研修する必要はない」とした。研修の具体的な内容は現在検討中だが、4月から算定可能だという。
また、医療クラークは「医局秘書」でも算定可能で、医師のカンファレンスの資料を作成するなど、日ごろ医師の事務作業を補助する業務を担当していれば「兼務」にはならないとした。所属や役職ではなく、業務の内容で判断するという。
ただ、診療情報管理士がDPCのために医師のコーディング作業を補助した場合は「請求事務に近いので、それは微妙なところだ」と否定した。
このほか、「病院の担う機能と医師事務作業補助体制加算の関係」の表中にある「緊急入院患者を受け入れている医療機関」の「緊急入院患者」について、「救急車のみか、昼間の救急は含むか」との質問があった。
これに対し、「緊急入院患者数200人以上とは、救急搬送による外来患者数と、外来受診のうち救命救急管理料と同じ基準で緊急入院となった患者の合計をいう」と答え、救命救急管理料の要件に準じるとした。
■ 妊産婦緊急搬送入院加算
今回の改定で新設された「妊産婦緊急搬送入院加算」は、救急搬送された妊産婦を受け入れた場合、入院初日に5,000点を算定できるが、算定の対象となる患者について「直近3か月以内に当該医療機関の受診歴のある患者は除く」とのただし書きがある。
この「受診歴」について、「産科に限るのか、他の科を受診していた場合はどうか」との質問に対し、宇都宮企画官は「当該妊娠にかかる、という感じで考えている。産婦人科を受診していても、この妊娠とは別の件でかかっている場合はいい」と答えた。
また、妊産婦が搬送される「救急車等」について、「タクシーや自家用車は含まれるか」との質問に「やむを得ない事情で自家用車を利用する場合もある。状況によって判断したい」と回答した。
この日、宇都宮企画官は約2時間にわたって今回の改定のポイントを解説。今回の改定の緊急課題である「病院勤務医の負担軽減」について、「1,500億円ですべて解決するわけではない。『不十分だ』との声もあるが、限られた枠の中でベストの方法を考えてきた」と述べた。
更新:2008/03/11 08:51 キャリアブレイン
医療ニュースデイリーアクセスランキング
※集計:3/10
医療ニュースアクセスランキング
※集計:3/5〜3/10
医療ニュース動画
08/01/25配信
高次脳機能障害に向き合う 医師・ノンフィクションライター山田規畝子
医師の山田規畝子さんは、脳卒中に伴う高次脳機能障害により外科医としての道を絶たれました。しかし医師として[自分にしかできない仕事]も見えてきたようです。