2007年に九州7県で発生した重症患者の救急搬送で、ベッドの満床などを理由に5カ所以上の医療機関に受け入れを断られた事例が67件あったことが10日、西日本新聞のまとめで分かった。最多は、14機関で収容を拒まれた鹿児島県のケース。今年1月には、佐賀県で救急車に乗せたものの搬送先が長時間見つからず男性が死亡したが、同様の悲劇が起こり得る実態が浮き彫りになった。
消防庁の要請で各県がまとめたところ、07年に九州内で搬送された重症患者は3万7678人。うち9割では最初の照会で受け入れが決まった。
しかし、1回受け入れを断られたのは2753件▽2回は722件▽3回は267件▽4回は97件▽5回は38件▽6回は13件▽7回は8件▽8回は1件。佐賀、鹿児島では9回断られたのが計3件。鹿児島では11回の拒否が2件、14回が1件、宮崎県では13回が1件あった。
医療機関が受け入れを断った理由は「手術や患者への対応中」「ベッドが満床」「処置が難しい」「当直医師の専門外」などだった。
鹿児島県消防保安課の児浦俊孝課長は「手術中など病院サイドの理由もあるが、交通事情や地理的要素など地域によって条件が異なる。円滑で着実な救命活動に向けて医療機関側と連携を深める必要がある」と話す。
一方、救急現場の医師からは「医療機関のたらい回し」の見方に批判的な声も上がっている。福岡市の救命救急センターで働く医師は「命を救うために必死で働いているが、どうしても受け入れられないときがある。医療機関に責任を押しつけず、行政の主導で早急に対策をとるべきだ」と強い口調で語った。
=2008/03/11付 西日本新聞朝刊=
消防庁の要請で各県がまとめたところ、07年に九州内で搬送された重症患者は3万7678人。うち9割では最初の照会で受け入れが決まった。
しかし、1回受け入れを断られたのは2753件▽2回は722件▽3回は267件▽4回は97件▽5回は38件▽6回は13件▽7回は8件▽8回は1件。佐賀、鹿児島では9回断られたのが計3件。鹿児島では11回の拒否が2件、14回が1件、宮崎県では13回が1件あった。
医療機関が受け入れを断った理由は「手術や患者への対応中」「ベッドが満床」「処置が難しい」「当直医師の専門外」などだった。
鹿児島県消防保安課の児浦俊孝課長は「手術中など病院サイドの理由もあるが、交通事情や地理的要素など地域によって条件が異なる。円滑で着実な救命活動に向けて医療機関側と連携を深める必要がある」と話す。
一方、救急現場の医師からは「医療機関のたらい回し」の見方に批判的な声も上がっている。福岡市の救命救急センターで働く医師は「命を救うために必死で働いているが、どうしても受け入れられないときがある。医療機関に責任を押しつけず、行政の主導で早急に対策をとるべきだ」と強い口調で語った。
=2008/03/11付 西日本新聞朝刊=