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2008年3月11日

 校長が教え子に脅迫メールを送って逮捕された事件は、愚かな中年男だ、今ふうの変な師弟関係だなどと言い切って済む問題ではない。こんな男が校長にまでのし上がる教育界の常識が疑われる

メールという連絡手段が猛烈に普及して、過去になかった人間関係が生まれていることも注目したい。校長と若き元教え子もその一つ。メールが新型モンスターを育てる、ふ卵器のように見えてくる

ネットはしばしば事件を招き、子どもに携帯を持たさない運動やメールを点検するなど、議論百出だ。しかし解決に決め手はない。大人と子ども、若者と中年の価値観は異なるけれども、携帯やパソコンに限っては一緒くたで、混乱の根もそこにあるのではないか

時代錯誤と言われそうだが、中年が人前でメールを打つ姿には今でも違和感がある。歩きながらものを食べたり、電車の中で化粧するのと似ているように思うからだ。社会風俗は「悪貨は良貨を駆逐する」傾向が強い。どれもいい年をした者のすることではないように見える

仕事のメールなら仕事場で打てと言いたいが、校長室で独り黙って、メールする男に掛ける言葉はない。


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