勝っただけではない。勝ちっぷりが見事だった。レース後半になるほどぐいぐいぐいとたくましさを増し、力強くゴールのテープを切った。
「よくやった。感動した」。中継のテレビの前で大声を出した人も多かったに違いない。北京五輪日本代表の最終選考会だった昨日の名古屋国際女子マラソンで、天満屋の中村友梨香選手が、初マラソン初優勝を飾った。
天満屋からは、二大会連続の五輪出場を目指した坂本直子選手も出場した。シドニー五輪金メダリストの高橋尚子選手もいた。強豪が名を連ねたが、中村選手はやってくれるのではという予感はあった。
昨年暮れの山陽新聞社など主催の山陽女子ロードレース大会ハーフマラソンで外国人に次ぐ三位に食い込んだ。今年一月の全国都道府県対抗女子駅伝では、岡山県チームの一区走者として区間賞に輝いた。伸び盛りの二十一歳である。今回も地元岡山の期待通りの走りをしてくれた。
それにしても勝負の世界は非情だ。坂本選手は十位に終わった。アテネ五輪後、けがに泣き続けた。もう一度五輪に出たいと執念で乗り越えたという。一時は先頭に立ったのだが、残念だ。高橋選手も失速してしまった。
きょう北京五輪女子マラソン代表三人が発表される。天満屋からは大阪国際で日本人トップの二位となった森本友選手も候補に挙がる。吉報が楽しみだ。