ここから本文です。現在の位置は トップ > 関西 > 記事です。

関西

文字サイズ変更
ブックマーク
Yahoo!ブックマークに登録
はてなブックマークに登録
Buzzurlブックマークに登録
livedoor Clipに登録
この記事を印刷
印刷

司法書士会:無認可で負担金徴収 入会時、会館運営など名目--大阪など8団体

 全国の司法書士会のうち大阪や神奈川など8団体が、司法書士法で義務付けられている法務相の認可を得ずに、新規会員から20万~2万円の負担金を徴収していることが分かった。いずれの団体も「強制ではない」などとしているが、大半の団体で支払いの拒否例はなく、多くの会員が「強制」と認識していた可能性が高い。専門家は「任意の徴収なら十分な説明が必要」と指摘。一部の団体は近く徴収を廃止する。

 司法書士は、登記や供託の手続き代理のほか、裁判所などへの提出書類の作成で報酬を受け取ることが認められている国家資格。開業には弁護士と同様、地元の司法書士会への入会が必要となる。不当に入会を妨げないよう、入会時に特別の負担を求める行為は法務相の認可事項とされ、会則への明記も必要と規定されている。

 司法書士会は全国に50団体(46都府県に各1団体、北海道に4団体)ある。毎日新聞が負担金徴収の有無などについて全団体に調査したところ、釧路、群馬、神奈川、岐阜、大阪、愛媛、高知、長崎の8団体が無認可徴収を行っていた。

 8団体のうち5団体は個別の規則や総会決議を徴収の根拠とした。会館を運営するための資金を名目にしている団体が多く、年間100人程度が新規加入する大阪は会館管理運営規則で「会館維持協力金として金20万円を納付する」と規定している。愛媛、群馬、高知の3団体は「特に徴収の根拠がない」とした。支払い拒否の有無に関しては、回答しなかった大阪を除く7団体が「拒否例はない」と説明した。

 一方で根拠のあいまいさなどから、廃止を検討する動きもある。2万5000円を徴収する群馬は「根拠規定がないのはまずい。廃止する方向で考えるべきだと思う」と回答した。神奈川は内部規則を根拠に5万円を徴収しているが、「新人への負担が大きい」として、早ければ4月から廃止する予定。15万円徴収の岐阜も「いずれ廃止したい」と話した。

 法務省は「個別案件はコメントできない」としている。【遠藤孝康】

 ◇十分な説明必要--山野目章夫・早稲田大法科大学院教授(民法)の話

 任意で支払いを求めるものならば、十分な説明が必要だ。新人研修など会は大事な役割を果たしているだけに、運営には透明性が求められる。

==============

 ■解説

 ◇「参入制限」の疑念招く

 司法制度改革の一環として、03年4月、司法書士に簡易裁判所での訴訟代理権が認められた。試験に合格すれば、訴額が140万円以下の訴訟では弁護士と同様に活動できるようになり、「身近な法の専門家」としての存在感を増している。そんな中、全国の司法書士会のうち8団体が、法務相の認可を得ずに新規会員から負担金を徴収している実態が判明した。これまで以上に透明性が問われる司法書士にとって、由々しき問題と言える。

 日本司法書士会連合会は「任意で、不利益な処分を課さない徴収なら問題はない」とする。しかし、会則も内部規則も熟知しない入会希望者に対し、「任意の徴収」と十分に説明しているかは疑問だ。支払い拒否例は、ほとんどない。

 司法書士法が「入会時の特別な負担」を認可事項とするのは、既存の会員が高額な負担を設定し、新規会員の参入を妨げる事態を防ぐためだ。今後、司法書士の希望者は増加するとみられるが、今回判明した行為は「参入制限ではないか」との疑念も招きかねない。【遠藤孝康】

==============

 ◆負担金の徴収が判明した司法書士会◆

   【金額(円)】 【名目】    【根拠規定】

釧路  3万6000 会館資金    総会決議

群馬  2万5000 会館建設協力費 特になし

神奈川 5万     会館維持運営金 会館運営資金調達規則

岐阜  15万    入会時拠出金  会館運営特別会計規則

大阪  20万    会館維持協力金 会館管理運営規則

愛媛  10万    寄付金     特になし

高知  2万     会館建設協力金 特になし

長崎  4万5000 会館維持負担金 総会決議

毎日新聞 2008年3月10日 大阪夕刊

関西 アーカイブ一覧

 
 

おすすめ情報