地方法人2税のうち法人事業税を都市部から地方に再配分する方向で政府・与党が調整している。地方自治体間の税収格差を是正するためだ。
企業が事業所を置く都道府県に納める法人事業税は、大企業の本社が集中する都市部ほど税収が多い。2007年度は約5兆6千億円と見込まれており、その4分の1は東京が占める。
地方に活力を与えるには、手厚い再配分が不可欠だ。
再配分額は東京からの約3千億円に加え、愛知県から800億円程度、大阪府から200億円程度を加え、4千億円前後となる見通しだ。
財務、総務両省は、法人事業税、法人住民税の地方法人2税の中から1兆円程度を地方の道府県へ再配分することを検討していた。だが、東京都などが反対したため、08年度税制改正では、法人事業税に絞ったという。
財務省案だと、再配分額は東京都から1兆2千億円、愛知県から2千億円、大阪府から1千億円、神奈川県から500億円の計1兆5千億円程度とも試算されていただけに、トーンダウンは否めない。
小泉政権によって、国庫補助負担金の廃止・縮減、税財源の移譲、地方交付税の一体的な見直しを行う「三位一体改革」が進められた結果、都市部が潤う一方、地方は補助金の減額などの痛みを被った。
地方を置き去りにしたまま、東京など都市部だけに日が当たる状況は何としても是正しなければならない。そのためには東京一極集中を改め、地方の財源を確保する必要がある。
法人事業税が再配分される代わりに、地方交付税が減額されるようなことはあってはならない。交付税に「特別枠」を設け、財政力が乏しい自治体に重点配分するのは当然の措置だ。
福田政権に求められるのは小泉政権の「負の遺産」にメスを入れ、「勝ち組」「負け組」に二分されるような社会構造を早急に是正することである。
政府は、東京都などと粘り強く調整し、税収の再配分への理解を取り付けるべきだ。
(12/5 9:53)