英国は北朝鮮と国交がある。北朝鮮の李容浩(リ・ヨンホ)初代駐英大使は03年12月、英上院委員会室で演説し、英国の外交的役割について次のように期待を強調した。
「我々は直接のチャンネルをもたない米国との意思疎通のために英国が橋渡し役になり得るとみている」
この会合の参加者によると、発言内容をオフレコにしなくてもいいと李氏は応じ、彼の滑らかな英語もあって新鮮な印象を与えた。
昨年赴任した後任の慈成男(チャ・ソンナム)現駐英大使も含め、北朝鮮は米国との交渉経験者をロンドンに送り込んでいる。英国側も米朝間のパイプ役を務めていることを認めている。
慈大使は4日、英上院での英朝議員交流組織の会合で演説し、質問に答えた。一部の報道で慈大使は文化交流促進を力説したと伝えられた。傍聴した筆者には別のことが通奏低音のように響いていると思えた。それは米朝関係正常化への切望と要約できる。
北朝鮮の核問題に関する議論の中で、慈大使は「もっと重要なのは北朝鮮に対するテロ支援国家指定など敵国規定の撤廃だ」と述べた。「我々は米国と外交関係がない。信頼構築が第一の課題だ」
それでは、米国の胸の内はどうなのだろう? 英外交関係者はこう指摘する。
「米国は本気で北朝鮮との関係正常化を考えている。特にブッシュ米大統領は自分の任期中(来年1月まで)に外交で功績を上げたいはず」
杞憂(きゆう)であればいいけれど、東アジア外交で日本が十分関与できない悪弊再来の恐れを感じた。70年代の日本頭越しの米中接近のように。
毎日新聞 2008年3月10日 0時08分