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幼稚園バス運転手は幼女を殺したか
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小林 篤著
税込価格 : ¥2,310
(本体 : ¥2,200)
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出版 : 草思社
サイズ : 20cm / 397p
ISBN : 4-7942-1023-X
発行年月 : 2001.2
利用対象 : 一般
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内容説明
DNA鑑定だけが証拠となった足利幼女殺人事件。だが、それは解かれぬままの疑惑に満ちていた。精緻な取材と検証で事件の驚くべき真相に迫る。『現代』誌上に掲載されたレポートをもとに、大幅に加筆・改稿。
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コメント・書評 |
冤罪を確定したDNA鑑定
山下淳
2001/03/05 11:04:00
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評価 ( ★マーク )
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1990年に起きた足利幼女殺人事件。栃木県警は当時44歳の幼稚園のバス運転手を犯人として逮捕した。決め手となったのは自宅のゴミ箱に捨てられていた精液の付いたティッシュペーパーだった。当時、導入されたばかりのDNA鑑定の威力によって、事件発生から一年半も経過していたにもかかわらず、幼女の下着に付着していた精液が同一人物のものであると鑑定されたのである。
これが我が国におけるDNA鑑定の名誉ある第1号であると同時に、それはまたDNA鑑定の足枷をはめられた被告の長くて苦しい冤罪の闘いの始まりであった。
著者は1994年以来、足利幼女殺人事件を雑誌『現代』にレポートして来た。本書における詳細な事件の検証は長年、裁判を追い続けた者だけが書き得るものであろう。読み進む内に読者は法廷ドラマの陪審員になったような気持ちで本件と対峙させられる。
特に知能上の劣等感を持つ被告についての記述は、冷静であるが故に心を打つ。弱きものはピエロの如く供述したのだろう……著者はそんな誘導と虚言によって作られた犯行のディティールを一つ一つ切り崩していく。 被告は一審段階に於いて肉親への手紙の中でこう書いている。
「俺は、事件など起こしてはいません。DNA鑑定は間違っています。もう一度やってもらいたいものです」
著者は「有罪の根拠として証拠採用してはならなかった鑑定を盲信し、最初の一個としてはめてしまった」ボタンの掛け違いが正常な裁判を狂わせてしまったと書く。
被告の願いは2審結審後、弁護団独自の再鑑定という形で実現する。果たして新たなDNA鑑定は別人であるとの結果を出したのであるが、最高裁の5人の裁判官が下した判断は……。
「ギルティオアノットギルティ」 あなたが陪審員だったら、神に代わってどちらに一票を投じる?
本書を読んだ限りにおいては、まさに不条理の一語に尽きる足利幼女殺人事件。このままでは終わらないことを信じたい。
(山下淳/フリーライター/2001.03.03.) |
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