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チュー中原のバスケを語ろう
2005/11/28
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選手を育て、NBAに2億円で売ろう

神奈川県立逗葉高バスケットボール部顧問・小田島誠氏:第2回

 11月に日本初のプロバスケットボールリーグ、bjリーグが開幕し、日本バスケットボール協会も2007年のプロリーグ構想を打ち出すなど、日本のバスケットボール界はプロ化に向けて動き出しています。「プロ選手の卵」を指導する立場として、神奈川県立逗葉高の小田島誠教諭(47)はこの流れをどう見て、考えているのでしょうか。斬新なアイデアが飛び出しました。【構成=飯田みさ代】

 中原 先生はプロ化の流れをどう見てますか?

 小田島 「プロ」って言葉は聞こえはいいけど、みんながどれだけ意味を理解しているかは疑問だね。僕は、子供たちによく、プロフェッショナルの意味を説明するんだけど、プロというのは「1つのものに命を捧げる」という意味なんだ。「お金を稼ぐ」ということではないんだよ。「プロ選手」=「それで稼ぐ人」としか思ってない人が多いけど、それを生業(なりわい)とするならば、それだけの覚悟がないとダメなのよ。

小田島氏
真剣な表情で自論を語る小田島氏

 中原 確かに。

 小田島 プロのバスケットボール選手になるってことは、バスケットボールに命を捧げるということなんだ。つまり、それで死んでもいいってこと。その気構えがあれば、プロ初年度の年俸が200万円でも頑張れるんだ。今のNBA選手だって、苦労を重ねた選手や監督も少なくない。だけど、それに命を捧げて努力を続けたからこそ、今があるわけだよ。それをなくしては語れないんだ。

 中原 地べたをなめた時代を乗り越えた者は強いですよ。

 小田島 bjリーグだけど、正直な話、僕は2年持つかどうかだと思ってるんだよね。熱しやすく冷めやすい日本人の気質を利用して、まあ、3年は持たせるかな。

 中原 まあ、いろいろ厳しい見方も出てることは確かですよね。

 小田島 bjリーグの理念には決して反対じゃない。例えば、エンターテインメントを導入するとか、地元密着を目指すなんてことは、当然必要なことだよ。でも、お客さんに来てもらって、入場料を支払ってもらって、ショーを打つんだという考え方はやめようよ。客が来なくなったから、どっかから話題性のある選手を集め、興行を打ってみようというのも、人口の少ない日本ではそれほど続かない。そもそもこんな発想が、日本のスポーツをダメにしている。

 中原 本当の意味での競技力を高めないと、いずれ飽きられるということですね。

 小田島 そう、客を集める方法は違うところにあるんだよ。bjリーグには、各球団1人ずつ「世界のトップリーグでプレーできる選手をつくる」ことを考えて欲しい。NBAやユーロリーグで活躍できる選手をつくって、1人2億円で売りましょうよ。6000万円のサラリーキャップで12人の運営をするんでしょ。1人2億円で売ったら、どれくらい強化費用が出せるか。

 中原 球団の経営ができちゃいますからね。

 小田島 「地元密着」はいいけれど、地域のおばちゃんや、おじちゃんのアイドル選手を育てるという発想はやめよう。僕の中のフィランチャイズ構想は、そこで世界に通用する選手を育てるということなんだ。

 中原 そういった意味では、アテネ五輪で金メダルを獲得したアルゼンチンは、10年計画での選手育成と強化に成功した例です。スパーズのジノビリの下の世代、12、13歳から強化対象になった選手が今、NBAで活躍し始めている。スパーズからドラフトされていながら、イタリアリーグとの契約が引っかかって今季もNBA入りが見送りになったルイス・スコラとか、ピストンズのカルロス・デルフィノとか、いい選手がいっぱいいます。

欲しいのは結果情報じゃない

 小田島 「バカの壁」の養老猛先生は「情報は絶対に曲がらない。発信した情報は真っ直ぐだ」と言っていた。だけど、受ける側がそっぽを向いていたら、情報は行き着くところがなく、空中分解しちゃうと。

小田島氏
日本人のNBA選手がどんどん誕生することを願う小田島氏

 中原 受ける側、つまり、ファンや国民が欲する情報じゃないと、どれだけ球団やリーグが情報を発信しても無意味だってことですね。逆に言えば、球団やリーグは、ファンが欲しい情報をどれだけ発信できるかってこと。

 小田島 そうそう。僕らが欲しいのは、〇勝〇敗といった試合結果の情報じゃないでしょ。もっと、ワクワクするようなもの。子供たちが聞いて、夢を膨らますことのできる情報じゃない? 例えば、どこどこのチームの選手が、NBAのチームに行くんだといった情報。契約決定といったものじゃなくても、練習やキャンプに参加するんだよっていうものでも、すごいことじゃん! ってなるじゃない。

 中原 それは、他のチームや選手や子供たちにとって、ものすごい刺激になりますよ。「あのチームへ行けば、NBAへの道が開けるかもしれない」ってことになりますからね。

 小田島 そういうニュースがあれば、メディアも動くでしょ。現地で、NBA選手と一緒にプレーしている写真1枚で、子供たちは胸を高鳴らせる。子供たちは0円の情報で、何億円分もの夢を買えるんだよ。

 中原 田臥勇太君のNBA入りのニュースは、本当に意味のあるものだったじゃないですか。僕自身、それに続くニュースを次々と発信できるような環境作りをしていきたいし、bjリーグもそういったことを目指して欲しいですよね。

 小田島 チームやリーグがそういう理念をしっかりと持っていれば、そこに属する選手も、格安の年俸だってやりますよ。夢実現のための道筋が見えればね。成功者になれば、結果的にそのチャレンジした過程、サクセスストーリーが金になるわけですから。

 中原 そうなりますね。「あの選手を育てたチームは一体、どんなチームなんだ」ってメディアが飛びつき、話題になりますから。

 小田島 その話題だけで3年は持ちますよ(笑い)。シカゴ・ブルズのように常勝軍団になったら、そういった選手を全部手放してゼロに戻し、もう1度、1から作り直せばいんです。

 中原 今の日本に、そういったビジネス的な発想はあるのかな。ともかく、まずはNBAの練習にねじ込みましょう(笑い)。ルートを作る。そうすれば、これから入団する高校生や大学生が「あのチームに行きてえ、あのユニホームを着てえ」って思うと思うんです。

敗者は弱者じゃない

 小田島 現在、スポーツ新聞やテレビのスポーツニュースでバスケットボールのニュースってほとんど扱われていないわけよ。日本のバスケは結果だけだし、NBAにしても結果を元にした原稿ですよ。学校教育の立場からすると、NBAの選手がここまで来るのに、どれくらい努力したのかという過程を見せたいんだけど、それが全く見えないわけ。生徒からすれば、そんなものに命を捧げられるのかって、ことになる。

 中原 あのコートでプレーできるようになるまで、どんな練習をし、どんな苦労としてきたのかってことですね。でも、スペースや時間の限られた一般のスポーツニュース内にバスケットボールが入るには、やはり、ビッグニュースで食い込むしかないですよ。

 小田島 世界観が狭いっていうか、日本の中で「お山の大将」になりたがる人が多いよね。これは僕の持論なんだけど、日本では「敗者」が「弱者」になってる。負けた人が弱者になっちゃってるのよ。例えば、能代工と福大大濠が対決して能代工が勝ち続けた。すると「やっぱり能代工のために大濠はあったんだ」って言う人がいるんだよね。全く腹が立つ、ふざけるなって。勝ち負けは時の運だろうが。今までしっかり、やってきたんだ。弱者じゃないだろ。

 中原 弱者じゃないですよね。

小田島氏と中原氏
対談を終えて笑顔でツーショットに収まる小田島氏と中原氏

 小田島 両チームの選手とも、立派な誇りを持った選手なんだよ。それがスポーツマンシップだろ。高校総体で優勝しようが、インカレで優勝しようが、JBLで優勝しようが、それを知ってる人はごく一部でしかない。それを弱者として位置付けるのはおかしいだろ。

 中原 確かに。バスケットボールの世界だけですからね。

 小田島 もちろん、負けるより勝った方が絶対にいいよ。一生懸命頑張ってきたから、負ければものすごくショックだというのは分かる。逆にそう思わなければ、そこまで頑張ってこなかったのかと、うがった見方をしてしまう。でも、そんな位置付けをされたらたまらない。

 中原 去年のインカレ決勝で、僕ら専大は慶大に負けたんです。選手たちは絶対勝てると思っていたから敗戦後、ロッカールームでものすごく荒れて、こぶしから血を吹き出させる選手もいた。ヘッドコーチ1年目の僕は、どう声をかけていいか分からなかったけど、こいつらホンマに優勝したかったんやな、と思っていた。そのうち、みんな落ち着いてきて「気が済んだか」って声をかけたらハッと我に返って「すみませんでした」って。僕は「謝らなきゃあかんのはオレや。お前らにつらい思いをさせてすまなかった。でも、お前ら、ええ加減なことやって負けたのとちゃう。精一杯やったやがな。そんでええ。次があるんやから。だから、胸張って、顔上げてこのロッカーから出て行こうや」と言ったんですね。ここからは後日談なんですけど、負けた直後、やる気をなくしていた選手が、僕の「顔上げろ」「胸張れ」「次やればええ」という言葉で、立ち直れたということを聞いたんです。僕の言葉が適切だったのかどうかは、そのときは分からなかったけれど、後から聞いて「良かった」と思いましたね。

 小田島 「優勝」という結果は素晴らしいことなんだけど、優勝するまでの過程がより一層、大切なんだよな。優勝は、たまたまできるかもしれないけど、過程がしっかりしたものじゃなければ意味がない。だからこそ僕は「練習から全力でやりなさい」といつも言っている。

引退後の生活保障も整備へ

 小田島 この国でプロリーグを確立するには、引退後の生活保障だね。NBA選手でもない限り、貯蓄もそれほどないと思う。教師としては、そこも整備していきたいと思っている。

 中原 僕のように、大学に拾ってもらったおかげで、バスケット1本で生活している人はほんの一握り。大学のコーチだけじゃ生活が成り立たないので、テレビなどメディアの仕事をもらって最低限の生活費を稼いでいます。でも、世界を見ると、これじゃいけない! って思いますよ。バスケットボール選手の生活レベルを上げることを真剣に考えないといけない。

 小田島 プロリーグができたことで、それにかかわる職ができたことはいいことだと思うし、もっと日本のバスケットボールがメジャーになれば、チューのような存在も増えていくと思う。

 中原 その通りです。テレビで放送される試合数が増えれば、それだけ解説者も必要になるわけだし、僕らも仕事が増える。また、知人でバスケットボール塾を開校しようと動いている人もいるんです。英語塾なんかと同じ感覚で、月謝をもらって指導しようと考えているようで、将来的には全国展開を目指しています。そうなると、元選手を講師で多数招聘(しょうへい)できるようにもなりますよね。

 小田島 元トップ選手が、指導者としてのトップを目指せることになる。先にも言ったけど、学校体育と切り離したクラブチーム構想にもリンクするし、日本のスポーツが文化として根付くきっかけになるかもしれない。



◆小田島誠(おだじま・まこと)
 1957年(昭和32)12月13日、神奈川県鎌倉市出身。茅ヶ崎高−日体大を経て高校体育教諭に。県立都岡高に17年間在籍し、高校総体に2度出場。98年神奈川国体などで少年男子のヘッドコーチを務めた。99年から逗葉高に在籍。元関東高体連バスケットボール専門部強化委員長、元全日本U−18委員。家族は夫人と一男一女。趣味はスキー。

チュー中原(本名・中原雄=なかはら・たけし)
 1966年11月10日生まれ。福岡県出身。専大ヘッドコーチ。89年に専大からいすゞ自動車入り。主将として4連覇を達成した後、99年に退社後、母校専大アシスタントコーチに就任、04年4月からヘッドコーチを務める。大学史上初の全日本大学選手権、関東リーグ戦を制すなど指導力に定評があり、テレビ解説でも活躍中。愛称は「チュー」。
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