米兵事件 県民大会実行委、発足
あす県議会に協力要請
米兵による事件続発に抗議する県民大会の実行委員会結成総会が八日、那覇市の八汐荘で開かれ、市民団体や労組、教育関係など約六十団体の代表ら百人が出席、正式発足した。大会名称を「米兵によるあらゆる事件・事故に抗議する県民大会」とし、二十三日午後二時から北谷公園野球場前広場で開催することを決定。すでに参加を呼び掛けている二百八十団体に加え、今後さらに各種団体、県議会の全議員などへ賛同を求め、超党派で取り組む方針を確認した。
大会スローガンは(1)人権(を守る)(2)実効性ある米軍の綱紀粛正と教育の徹底(3)日米地位協定の抜本改正(4)目に見える基地の整理・縮小―とした。文言は事務局で調整する。
実行委員長は、引き続き仲里利信県議会議長へ就任を要請し、大会規模は第一段階として一万人以上、最終的に数万人規模を目指す。
また実行委として、「米兵による事件・事故に抗議し、基地の整理・縮小を求めることは党派を超えた、県民の一致点」とする陳情を承認。
代表が十日に県議会議長と議会各会派を訪ね、全議員の大会参加と県民への呼び掛けに協力するよう要請する。
呼び掛け団体を代表し県子ども会育成連絡協議会の玉寄哲永会長は「沖縄は生まれ育った場所。大事にしたい。誇りにしたい。米兵による犯罪への怒りを、『県民党』として一緒に日米にぶつけよう」とあいさつ。「抗議の声を上げないと、人権に対する安定した土壌を失う。互いの力を合わせて前進したい」と決意を述べた。
県婦人連合会の小渡ハル子会長は「戦後六十年余、米軍による事件・事故で県民の生活は脅かされてきた。もう我慢できない」と訴え、ガンバロー三唱で大会の成功を誓った。
質疑応答では、会場から「県議会も全市町村議会も抗議決議をした。議員は決議に責任を持つべきだ」「圧倒的な数で、米軍の事件を絶対に許さない姿勢を示すべきだ」などの意見があった。
実行委発足とともに、県子ども会育成連絡協議会、県婦人連合会、県老人クラブ連合会、県高等学校PTA連合会、青春を語る会、県青年団協議会の呼び掛け六団体は実行委幹事団体に移行した。
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県民大会に向けた実行委員会が八日、船出した。大会規模の設定だけでも異論が出る状況だが大会名、日時、会場が決まり具体的な動きが始まる。短い準備期間、不参加の表明もある逆風下で「超党派・県民党で、何としても大会を成功させたい」強い思いが参加者をつないでいる。
「スローガンに基地撤去も含めよう」「一万人規模と言わず三万人、五万人ともっと大きくできないか」「呼び掛け団体の代表から実行委員長になってほしい」。会場からは、準備された実施要綱案にさまざまな意見が出た。発言者が変わっても同じ質問が上がる。
そのたびに、呼び掛け六団体を代表し県子ども会育成連絡協議会の玉寄哲永会長が説明に立った。「県議会の決議の範囲で、全県民が参加できる形にしたい」「できるだけ多くの人の参加を促し最大規模の大会にする」「一万人はまだ一歩。各団体が互いの力を出し合いながら大会を前へ進めましょう」「県議会への要請はこれからも行っていく」。時にゆっくりと言い聞かせるように、時に語気を強めながら説明する。「そうだ」フロアにも、最大公約数を求める空気が広がっていった。
最後に、参加者から決意表明があり、「声を出せない被害者の代わりに、私たちが声を出さねばならない」と声を上ずらせた人や「戦後六十数年たってもこんな終戦直後のような状況を変えよう。多数の参加で成功させよう」と力を込める人など次々とマイクを握った。
大会実現に奔走する県婦人連合会の小渡ハル子会長は、大きくうなずきながら参加者の意見を聞いていた。総会後、目を潤ませ「これだけの団体、人が集まってくれて、心から感謝している」。事件直後から抗議や要請を繰り返す一方、被害者を傷つける報道や言動、政治の動きに眠れない日が続いたという。「これで大きく前進した。後はもう、頑張るだけ」と話し、超党派での県民結集へ向け表情を引き締めた。
玉寄会長は「この熱気を持って県議会各派に要請してくる。私たち呼び掛け六団体は、どの党にも属さない超党派そのもの。各議員も意見書を決議したのだから、絵に描いたもちに終わらないよう実効性を持たせてほしい」と決意を新たにした。
米兵事件続発に県女団連が抗議
集会で決議
「3・8国際女性デー」の八日、県婦人連合会など三十二団体が加盟する県女性団体連絡協議会(安里千恵子会長)は、那覇市の県男女共同参画センター「てぃるる」で集会を開き、米兵による暴行事件に関する抗議要請や特別決議、後期高齢者医療制度の中止・撤回を求める要請など、計十二の要請文案と決議案を採択した。