米国の作曲家レナード・ローゼンマン氏の死去が六日、報じられた。八十三歳だった。小さな訃報(ふほう)記事から浮かんできたのは、映画「エデンの東」の壮大なテーマ曲である。
映画音楽の中ではスタンダードナンバーとしてよく耳にする名曲だ。映画の方は夭折(ようせつ)の青春スター、ジェームズ・ディーンが鮮烈なデビューを飾ったことで有名だが、優美な旋律によって数々の名シーンがよみがえる。
現代音楽の大家シェーンベルクに師事し、ジェームズ・ディーンの紹介でエリア・カザン監督に会った。そこで初めて映画音楽を担当した。「ミクロの決死圏」や「スタートレック4」「ロボコップ2」など近年の話題作のほか、「コンバット」などテレビドラマも手掛けている。
「エデンの東」の公開は一九五五年。それから三十年以上も活躍しており、二度もアカデミー賞を手にしているが、意外に知られていない。「エデン」の印象がいかに強いかということだろう。
とはいえ、今の若い人たちが、この映画の古典をどれだけ見たことがあるだろう。多くのスクリーンを備えるシネコン(複合型映画館)や相次ぐ新作で、活況を呈する映画界だが、新しいものばかりに目が向いているようだ。
古典には俳優や脚本、音楽、映像など総合芸術としての映画の魅力があふれている。ぜひ若い人たちに伝えていきたい。