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医師が危ない
第2部・過酷な現場
2008年03月06日付・夕刊

 (8)脳外科だけじゃない

ICU(集中治療室)は医療スタッフとともに、高性能の生命維持装置やモニターが重篤患者の命を守る。1日の基本料金だけで9万5000円(高知市池、高知医療センター) 「私、朝から三つ目の緊急オペなんです」

 高知医療センター(医療C)脳神経外科に密着して五日目、深夜の緊急手術。呼び出された麻酔科、難波健利(たけとし)医師(51)は、やつれていた。

 前日は院内ICUの当直でほとんど寝ていない。この日は麻酔の待機当番。手術がなければ家でのんびりできるはずだったが、それは夢だった。連続勤務は四十時間を迎えようとしていた。

 手術にはもう一人、麻酔科医が入った。この日が院内ICU当直の浜田暁医師(28)。本来はICUで一晩中張り付かねばならないのだが、この手術は大量出血が伴うため緊急応援を求められたのだ。

 午後十一時、「お願いしまーす」の掛け声で手術は始まった。頭蓋(ずがい)骨骨折と広範囲の脳挫傷。二カ所の骨を外し、五時間程度で終わるはずだったが、予想以上に出血がひどく、八時間にも及んだ。

 溝渕雅之医師(48)が骨を開き、傷んだ組織を吸引していったが、あちこちから血がにじみ出て、止血は難渋。「これは本当に血が止まるのか」と思うほどの気の遠くなるような作業だった。

 ようやく折り返し点に来たのは午前三時。森本雅徳部長(56)と主従を交代したが、あと三時間はかかるという。

 前日の夕方から医師に密着して寝ていない私は猛烈な睡魔に襲われ、二時間ほど仮眠を取ることにした。

 だが、目が覚めると午前八時前。四時間半も寝てしまった。急いでICUに顔を出すと、緑色の手術着姿の溝渕医師が、患者の家族に説明し終え、電子カルテを打っていた。

 顔がむくみ、目もつぶれかけている。手術終了は午前七時前だという。

 「全然、血が止まらんかって。さすがに疲れた。最後は目がかすんでしまって。森本先生の体力はすごいわ」

 そう言いながらキーボードをたたいていたが、「はぁー」とため息をついて、机に突っ伏した。

 それでも、患者に取り付けたモニターの警告音が何度も鳴り、看護師から指示を求められたりして、五分と休めない。

 あまりの憔悴(しょうすい)ぶりに、慰めの言葉も思い付かず、そばにいた看護師に「痛々しいですね」と言うと、「これがずっと続くんですよ」。慣れ切っているのか、気にする様子はなかった。

 ムクッと起きた溝渕医師は「もう、ええやろ。これ以上やったらミスが起こる。今日は土曜やろ。一回、家に戻って寝よう」と力なくつぶやき立ち上がった。

 ロッカールームに行くと、ICU当直明けの浜田医師が、新しい手術着に着替えていた。これから前夜、救急車で来た患者の胆石の手術だという。やれやれ、この人も家に帰れないのか。

 「一、二時間だから、大したことありません。今日は僕が麻酔科の待機だから、手術は全部、僕が呼ばれるんです。最悪だと四十八時間勤務ですね」

 その手術を執刀する消化器外科医も朝まで救急外来の当直で一時間半しか寝ていないという。

 「忙しいのは脳外科だけじゃないというのが分かってきたやろ。ここは手術室の看護師も含めて皆、化け物みたいに働いとるんやから」

 溝渕医師の言葉にうなずくしかなかった。

 【写真】ICU(集中治療室)は医療スタッフとともに、高性能の生命維持装置やモニターが重篤患者の命を守る。1日の基本料金だけで9万5000円(高知市池、高知医療センター)

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