#001 思い出してみる 肘の骨、肩胛骨の形、瞳の色、親指の爪、薄い唇、襟足の髪、 思い出してみるよ どれほど私が愛していたか #002 真冬でも凍ることのない澄み切った湖のような瞳をして、 濁りも傷もない鉱石のような美しい心をもっている、 美しい、君のために僕が出来ること。 #003 傷つけ合うのが怖かったのは昔のことだと君は言うけれど、 君は傷つくことの痛みを知っているから誰かを傷つけることが怖いんだろう。 わかっているよ、僕もそうだから。 #004 星が降った痕はまるで傷跡のようだった。 #005 いつか死んでいく夜の輝きを思ってる いつか生まれる朝の憂鬱さを思ってる #006 あの頃の僕は、言葉にすればすべてが叶うと思っていたんだ。 誰かの真似をして、使い古された僕の言葉が 君の心に響き、君の傷を癒すとさえ思っていた。 #007 私たちの天国はどこにあるんだろう。 空に一番近いところ、きっとそこ天国へ繋がる扉がある。 見たことはないけれど、そう信じているの。 そう言った彼女を、僕は信じている。 #008 明るい空を見上げていたい、すべてが偽物でも満天の光が輝く空、誰のものでもないもの、思い出している、痛みだけがあの日々の僕を生かしてた、約束が未来を繋げるのならば、守れなくても守らなくてもいい約束をしよう、癒えない痛みと引き替えに、ほかには何もなかった、優しいただの光、目を閉じて感じる闇は闇なんかじゃない、さよならも言わないつもり、ちぎれそうな足を引きずっていく、なくしたはずの心が痛いのはどうしてだろう、 #009 居場所ならどこにでもあるのに、居場所がないと泣いていた。 たった一瞬のために生きているんだって、気がしていた。 思い描けることはすべて手にはいると思っていた、すべて掌に落ちてくると思っていた。 そこから飛び降りても、空を飛べる気がしてた。 本当はさ、知らないままでいたほうがいいことがたくさんあるんじゃないかと思うんだ。 無邪気な、無垢な心には世界の全てが美しくて、眩しかったはずなんだ。 #010 僕にすべてを与えてくれた人が、いつか僕から全てを奪っていく #011 ダニー、君への出す宛てのない手紙は何度も書いた。何度も、何度も。 ときどき、考えるよ。 神に愛されていた君は、どこへ行ってしまったのだろう。 近すぎたからこそ見えなかったたくさんのものが、かけがえのない、唯一だった。 今、たくさんの後悔に呼吸を奪われながら、たくさんの嘘の中を漂っている。 淡々と毎日が、止まらない鼓動のように時間が過ぎていく。 生きることが、激痛を伴うってことを、身をもって知った。 #012 立ち止まったら死んでしまうような気がする、だから、走り続けなきゃいけないって思ってる #013 たくさん伝えたいことがあって、どれも言葉には出来なくて、息が詰まりそうだ。 ときどきは君の夢も見たい。ときどきは傷を忘れたい。 愛なんてなくても生きていけるけど、ある方が満たされた人生なんじゃないかと思うよ、 僕の人生が満たされていたことなんて一度もないけれど。 雑音に飲み込まれて自分の心臓が動いているかさえわからなくなっていくよ。 胸に手を当てて感じる鼓動はひどく弱々しくても力強い。 「君が生きている音だよ」誰かがそう言った。 僕の願いはただひとつ。 覚えてもいないけれど、子宮にいた日々に帰りたい 雪の降る夜みたいに、音を飲みこんでいく静寂の中に帰っていくんだ 当たり前のことこそが、奇跡だって教えてくれたのは君だったよ #014 なめらかに流れていく嘘と、こぼれ落ちていく毒で、僕の視界は灰色に飲み込まれていた そうして何も見えなくなったんだ #015 世界の無情さを呪っていた僕は、 僕たちはここからどこにもいけないと思っていた。 (君の背中の翼を見えない振りをして) #016 見渡す限りの青空の下、息苦しいのは何故だったのか、星もない明るい夜空、明かりの数だけの幸せと悲しみがあることを知った、悲しい歌ばかり聴いていた、柔らかいブランケットの中に敵はいないのに、忘れたくても過去は消せない、消えない手首の傷を隠すように生きる、10年は長かった、長すぎたんだ、覚えてないだろう、僕らを隔てていたのは皮膚だけだったのに、思い出さないで、人は皆悲しいということ、すべてが悲しみから生まれてること、あれは1978年の春、覚えてはいないけれど、きっと泣けるくらいに美しかったはずだ、眩しかったはずだ #017 いつか君を追い越していく、いつか、必ず それが、とても怖くてとても悲しかった 朝陽が差し込む終わりの朝に、僕たちは何を見つけたんだろう あの時感じたおぼろげな輪郭を失ってしまったよ 戻れる場所ももたずに、遠くに見えるあの光を目指して、 ただ進むだけだって、信じていた ほかには何も信じるものがなかったんだ 言葉なんて何の役にも立たなかった #018 ずっと昔、僕も君も特別なすばらしい子供だった頃があった。 いつからかありふれた存在になってしまったけど。 だけど思うんだよ、誰でも特別ですばらしい、天使みたいな存在だった頃があるんじゃないかって。 ただ、そのまま大人になれる人は限れているだけさ。 #019 欲しいものはたったひとつ たったひとつだ #020 誰かにとっての嘘が、僕には真実だった。 それだけのこと。 ← |