松本清張の推理小説「点と線」の舞台となった東区香椎の西鉄香椎駅西口にある桜の木が21日、駅周辺の土地区画整理事業に伴い、約30メートル南側に移された。
桜の木は当初伐採も検討された。だが、06年に駅が改築され、樹齢約50年の桜は設定当時から残る唯一の存在。小説には登場しないものの、ファンの集まり「松本清張の会」(北九州市)や駅前の町内会が市に保存を求めていた。
市現地事務所の青木直哉主査は「桜は移植するのが難しいと聞いていたが、樹木医らにみてもらい可能だと知った。地元の熱い要望もあったので、残せてうれしい」と語った。
清張の会事務局長の上田喜久雄さん(65)は「桜は(「点と線」の登場人物)安田とお時を見届けた生き証人。小説でお時の心中遺体が見つかった今日1月21日に移植され、感無量。これでお時の霊を供養できる」と話していた。【幸島朋子】
〔福岡都市圏版〕
毎日新聞 2008年1月22日