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03/04 02:10更新
「風邪かな?」と思うと、すぐ薬や病院に頼り、治った気になる人は多い。だが、「対処療法で応急措置はできても、根本的な治療はできていない」と安保(あぼ)徹・新潟大学大学院教授。ベストセラー「免疫革命」でも知られる“免疫先生”が、多忙なサラリーマンに送る処方箋(せん)は、ズバリ「まじめをやめろ!」だ。
「なぜ病気になるのか。それは、能力の限界を超えて、無理をしているからなんです」と安保氏。免疫学の世界的権威として数々の著作を持ち、近著『「まじめ」をやめれば病気にならない』(PHP新書)も話題だ。
それにしても「まじめ」と「健康」にはどんな関係があるのか。
「残業や夜更かし、悩みなどは、交感神経が緊張して血流が悪くなり、体が壊れる原因になります。日本人は皆まじめで、遅くまで頑張っている。自営業の人も資金繰りで苦労している。その無理のために体は壊れ、がんにもつながります。がんになる人たちは、夜更かしが多いんですよ」
原因不明で片づけられることの多い頭痛も実は「まじめさ」が原因だったりする。
「無理をして疲れたときに、体にたまった炭酸ガスの量を下げようとする過程で頭痛が強く起こる。くも膜下出血などにいたる危険性もあるので注意した方がいい」
安保氏によると、健康な人の白血球数は、ほぼ6000前後(血液1マイクロリットル中)。だが夜の9、10時まで働き午前1時過ぎに寝る人は、白血球数が7000-8000に増加するという。とりわけ問題となるのが、白血球の中でも免疫や炎症反応に関係する顆粒(かりゅう)球の増加。顆粒球が過剰に増え続けると免疫異常を引き起こし、さまざまな病気の原因になるというのだ。
「まじめ」が招く血流異常。「仕事を減らして体を休める」が第一と安保氏。とはいえ、これはなかなか難しい。そこで、日常にちょっとひと工夫。例えば深夜帰宅で、シャワーで済ませようと思っても、ゆっくり湯船につかる。男性はあまりなじみがないかもしれないが、今の季節なら、湯たんぽを使うのもいいそうだ。
「たとえ丈夫な人であっても、過度な仕事やストレスに毎日さらされていたら30、40代で、ある日突然、がんにかかることもある。ストレスを飲み食いで紛らわすことが可能なのは、40代半ばまで」と安保氏。40歳を過ぎたら、“チョイ不真面目おやじ”が身のためだ。