公立病院の経営が厳しさを増す中、県内の精神科病棟で廃止や縮小の動きが出ている。医師不足や収支の悪化など要因はさまざまだか、精神医療に対するニーズは高く、今後の対策が求められる。(小野大輔、筋野茜)
建て替えが決まったさぬき市民病院(同市寒川町石田東)。市は7日、精神科病床(190床)を早ければ今年度中にも廃止する方針を固めた。
関係者によると、精神科の医師3人のうち、岡山大からの派遣医1人が今月末で同病院を退職する。病院側は後任を探してきたが見つからず、病床維持が困難になったという。これを受け昨秋から、患者と職員に退院や退職を促していた。
07年3月6日に115人いた入院患者は、今年3月6日現在で5人にまで減った。残る患者についても今月末を目標に転院や退院を求め、完了し次第、病床を廃止するという。
ただ、統合失調症患者のリハビリなど、精神科のニーズは依然高いことから、外来部門は一般病棟内で当面維持するという。大山茂樹市長は「医師が見つかりさえすれば存続させる気持ちだったが、医師不足は深刻。苦渋の決断だ」と話している。
一方、精神医療の基幹病院である県立丸亀病院(丸亀市土器町東9丁目)の運営方針などについて考える「香川県立丸亀病院あり方検討委員会」(森下立昭会長)は7日、病棟の削減などを盛り込んだ真鍋武紀知事あての意見書を、平川方久県病院事業管理者に提出した。
同病院の07年度上半期の病床利用は85・8%と、病床が余った状態になっている。また、同病院では7年連続で黒字収支ながら、人件費比率が100%を超える年度もあるなど、経営状況も悪化していることから、県は08年度から現在の6病棟から1病棟を削減し、5病棟体制で運営する方針を固めている。
これに対し意見書では、「民間精神科病院などで対応可能な機能は縮小するべきだ」などとし、11年度末までに現在の6病棟から4病棟に規模を縮小することを提言。一方で、患者のニーズに合わせて「児童思春期精神医療」や「ストレスケア医療」などに特化した診療を実施するよう求めている。
平川管理者は「丸亀病院が精神医療の基幹病院としての使命を果たせるよう努めたい」と話した。