こんばんは。Mix08 参加中の五寳です。
無事初日のセッションが終わり、Evening Party で日本から参加されている方々とも楽しくお話させていただきました。
セッションの話の前に。
Internet Explorer 8 Beta1 は、開発者向けにリリースされたものですので、通常利用においては問題が発生する可能性があります。ベータ版という位置付け上、利用時やインストール時に問題が発生した場合、通常サポートでお受けすることはできません。評価目的以外でご利用になられることはお勧めできませんので、ご理解のほどよろしくお願いいたします。
さて、午前中の Keynote の部分は Dean Hachamovitch が紹介したことはざっくり書きましたが、午後一であった Chris Wilson の "Welcome to Microsoft Internet Explorer 8" について、紹介したいと思います。この Mix での Chris の公演は、おそらく Mix 終了後 MSDN か Mix のサイトで公開されると思いますが、ざっとこんなこと話したんだなーということが分かれば見やすくなるのではないか?と思います。
(Chris Wilson の講演の様子)
まずは、「 ...the challenge we have, on the Internet Explorer team, that is exactly what we need to do. 」と始まって、次にユーザーと開発者という完全に異なるニーズに Internet Explorer で応えていくのは、とてもチャレンジングなことだ。と始まりました。
そして、それぞれが欲しっているものを次のように挙げました。
- User が欲しているもの: Predictability(ちゃんと動くこと), Productivity(生産性が向上する:使い勝手がいい), Power (足りない機能がない)
- 開発者が欲しているもの: Predictability (今までのサイトが無駄にならない), Productivity (相互運用可能な Web標準の搭載、簡易テストツール), Power (よりリッチな Web Experience を提供できる)
今回リリースした IE8 Beta1 は、Web 開発者向けのリリースで、User Experience に対するフル機能は搭載していないが、User Experience を見れる次のベータ版を年内にリリースしますと話し、それぞれのニーズに対して、IE8 で新しく対応したことについて、話しました。下記にまとめるとこんな感じです。(私のメモの走り書きが元なので、足りない部分があったら後で追記します。)
Predictable Experience for Users
- セキュリティ : アドレスバーでドメインがハイライトされる。アドオンの管理画面がさらに進化
- 互換性 : 新しいバージョンの IE でも、サイトもアプリもちゃんと動くようにします。(これからの対応次第?)
- ActiveX の向上 : Admin でなくても ActiveX コントロールのインストールが可能、サイト毎の ActiveX コントロールの利用、DEP/NX が標準で ON (要注意かも、後で個別に確認したいと思います。).
- 信頼性: クラッシュしても IE 全体で落ちるのではなく、タブ単位で落ちる。(DEMOあり。またリカバリーの機能もあったはず。。。)
- 生産性の向上: HTML に対して W3C ARIA を実装。(Accesibility に貢献?)、Zoom 機能の向上、Activities という新機能の実装。(既存の Web サービスの利用がより便利に: IE8 のインストール後のウィザードでいろいろ選択できる DEMO あり、Activities の利用・開発方法についてもさらっと紹介)、WebSlice という新機能の実装 (Webコンテンツの中から必要なところだけをスライスして活用できる。microformats の hAtom で実装)
- 日本で実施した Web 標準フィードバックフォーラムでも質問がありましたが、Windows Feeds Platform が、Feeds に加えてこの WebSlice もサポートすることになりました。またさらに、Feeds Platform では認証(HTTP ベース、SSL 経由の Basic認証)をサポートするようになりました。
Predictable Platform for Developer
- IE8 Standard モードが IE8 の標準レンダリングモード (ここで拍手あり:日本の Web Developer/Designer さんからもたくさん要望をいただきました。)
- 補足すると、今までどおり DOCTYPE で Standard (IE8) か Quirks (IE5?) を判断し、 Strict (IE7) で表示させたい場合は、次の meta タグを挿入するか、Dev Tools を使って View を切り替えるか、IE8 beta1 に搭載された "Emulate IE7" ボタンで切り替えるという3つの方法が用意されてます。
- IE7 モードで表示させるタグ : <meta http-equiv=“X-UA-Compatible“ content=“IE=7“ />
- ちなみに、User-Agent String でひっかかるサイトがある場合は、Emulate IE7 を使うことで、 MSIE 7.0 なるので回避できますが、レンダリングも IE7 なので、IE8 のテストできないじゃん、という問題あり。。。(Emulate IE7 ボタンを押したら、一度 IE を再起動してください。)
- ここで、Acid2 のデモ。(しかし、IEBlog にあるような表示になって失敗。会場に笑いが響く。。。が、その後、成功させる。)
- HTML 4.01 のサポート:OBJECT の相互運用的な動きをサポート
- Form コントロール振る舞いがより素直に
- Full CSS2.1 への対応が IE8 のゴールのひとつ : 新しいレンダリングエンジン
- 特筆すべき新しい CSS Features として、"Content" と "Counter" への対応、Outlines、Table の Display 値について
- これは、Web 標準フィードバックフォーラムからのフィードバックのまとめのほうがもっとありますね。こちらもまたまとめて公開したいと思います。
- CSS3 への対応として、Box-sizing プロパティ、縦書きサポート(いまさら感もありますが、Chris もこれは IE5 ぐらいからサポートしてるよねとフォローしてた気がします。すみません、ちょっと聞き逃し。。。)
- 「Yes, this is the end of hasLayout」 : 新しいレンダリングエンジンからは、hasLayout システムを削除 (ここで、拍手あり)
- DOM について : セッションではさらっと流しましたが、"unspecified" アトリビュートのサポートや、ownerElement や contentDocument のサポートなどが書かれてました。
- パフォーマンスについて: 同時セッション数が 2 から 6 に。JScript の向上 (DOM Object や、Native JScript の動作が早くなった)
- Developer Tools : CSS, HTML, JavaScript の Debugger が標準搭載。(DEMO あり。実際に触ってもらったほうがよいのですが、、、)
- 4 つの Web Application Challenge
- Ajax とナビゲーションについて : Ajax を利用した動きに対して IE の戻るボタンを対応させた。アドレスバーで Ajax URL の Cut&Past が可能。
- Element Tree の要求に対して:.querySelectorAll()は"StaticNodeList"を返す。 .querySelector() は First Child Element を返します。 (これも結構拍手が大きかったです。)
- ローカル ストレージについて: Cookie や UserAgent 、セッション Store (HTML5) とか。
- Cross-Domain Requests : 新しいオブジェクト "XDomainRequest(XDR)" の実装
と、こんな感じでした。
セミナーが終わった後、Chris Wilson と直接話をする機会があり (私はメールでは何度かやり取りしてたのですが、直接会うのは初めてだったので。)、日本で IE のための Web 標準フィードバックフォーラム というプログラムの紹介や、日本の Web Developer/Designer さんもすごくいい意見やフィードバックを持っているので、これからもフォローして欲しいとお願いしました。
(Chris Wilson と五寳:丁度セミナー会場を出たところです。)
最後に IE8 のベータプログラムについて話がありましたが、ここで補足しておくと、IE8 の Beta1 の TechBeta はごく限られた方で、且つ必ずフィードバックをいただける方を対象に Nominate させていただきました。日本からも現在40名の Web Designer/Developer/MVP などが参加されています。
皆さんは通常 Public Beta と呼ばれる一般公開されている Beta1 を触っていただけますがフィードバックは Public の Newsgroup などがあるだけで、(日本ではまだ準備していません。)、Connect サイトで実施される Technical Beta Program で投稿されたフィードバックは見れるようになっていて、それについて Rating 付けを行うことが可能になっています。
Beta Program については、またまとめて記事にさせていただきます。
Hands On Lab についても書きたいことがありましたし、ちょっと全体的に読みづらいですね、、、スミマセン。
五寳