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イージス艦事故から1週間 衝突への危機意識薄く (1/2ページ)
千葉県・野島崎沖で起きた海上自衛隊のイージス艦「あたご」と漁船「清徳丸」の衝突事故は26日で1週間。なぜ最新鋭の装備を備えたイージス艦が無防備な漁船に衝突したのか。業務上過失往来危険容疑で捜査している第3管区海上保安本部のこれまでの調べでは、あたごの不十分な監視や「相手の船がよけてくれると思った」と乗組員が供述するなど、危険性に対する意識の薄さが事故を招いたとの疑いが強まっている。
■交代は全員で
あたごは米国への派遣訓練を終え横須賀港に向かっていた19日午前4時7分ごろ、マグロ漁で仲間の船と三宅島方向に向かっていた清徳丸と野島崎の南南西約40キロの地点で衝突した。
3管本部の調べで清徳丸の左舷にほぼ直角に衝突したことが判明、海上衝突予防法上、あたご側に回避義務があったことが判明している。
あたごの航行は、艦橋10人、機関室8人、戦闘指揮所(CIC)7人、後方の見張り1人の26人体制で1日を11区分にわけて2時間〜2時間半おきに交代。26人全員が一度に交代する。事故時、艦橋では午前4時から当直に就いた10人の当直員が配置に付き、レーダーや目視による監視と操船を行っていた。
しかし、海上の灯火に注意を払うことなく自動操舵の航行を続け、漁船に気づいたのは衝突2分前、手動に切り替えて全速後進などの回避措置をとったのは衝突わずか1分前だった。あたごの乗組員は3管本部に「相手がよけると思った」などと説明しているという。
■交代前から把握
防衛省は衝突12分前の午前3時55分に見張り員が清徳丸のものとみられる赤色の灯火を視認していたと説明したが、清徳丸の僚船は衝突の約35分前の午前3時半ごろには漁船のレーダーにあたごが映っていたとし、「イージス艦のレーダーにも映っていたはずだ」と反論。両者の主張が食い違っていた。