県内で医師不足が深刻化している問題で、国と県が志太地域へ医師の派遣を検討していることが7日、分かった。国が特例措置として県に打診し、首都圏の病院から産科医1人を1年間、派遣する方向で調整を図っている。
医師の派遣には、県内有識者でつくる「県医療対策協議会」の了承が必要。県は14日に開く同協議会で提案する。派遣が決定すれば、県内では初のケースとなる。
産科医の派遣先は、6月までに常勤の産科医3人が全員退職する藤枝市立総合病院が有力となっている。今回の対応は、年間800件前後のお産を扱い、同地域の4割近くの分娩を担ってきた同病院の産科休止を受けての措置とみられる。
県は「藤枝市立総合病院はリスクの高い分娩にも対応してきた。産科休止がもたらす地域医療への影響は大きい。地域内の合意が得られれば進めたい」と話している。
派遣の詳細は今後詰めるが、国主導で進めている医師派遣制度に準じた手法となる見通しが高い。同制度は医師不足地域に対し、国立病院や規模の大きな病院から医師を緊急派遣する仕組みで、実施するには▽地域全体の合意▽派遣終了後の周産期体制構築の見通し▽補助金の拠出―などが条件になる。
全国各地で医師不足が顕在化する中、国は緊急医師確保対策として、2008年度予算案で医師を派遣する病院へのインセンティブ(報奨)を強化した。派遣を承諾した病院には補助金約2300万円を助成し、負担額は国と県が2分の1ずつ。この補助金のほかに、派遣を受けた病院が派遣元病院に対し、診療業務の目減り分を補う損失補償も検討されている。
同制度をめぐっては、派遣元病院の報奨を厚くして医師を確保する手法や、期限付きの医師派遣の効果に疑問を投げ掛ける声があり、県内では医師不足が志太より深刻な地域もあることなどから異論を唱える意見もある。
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