伊那市の小坂樫男市長は7日の市議会3月定例会一般質問で、4月からの伊那中央病院(伊那市)での里帰り出産受け入れ中止について、産科医増員などを背景に「特別な事情がある人は、事情の許す限り受け入れしていければ」と述べ、病院で対応可能な場合に限り、受け入れていく意向を示した。竹中則子議員の質問に答えた。
小坂市長は、出産を扱う助産院が現在の1カ所から今年中に3カ所に増える可能性や、伊那中央病院での産科医1人増員、国道361号権兵衛トンネル開通で近くなった県立木曽病院で「年間100人くらいは引き受けできる」などと、お産を取り巻く情勢の変化を説明。「どうしても里帰り出産をしなくてはならない事情の人」について、「市町村を窓口として申し出て、上伊那広域連合で集計し、伊那中央病院、助産院、木曽病院が連携する中で受け入れ可能なものは受け入れしていきたい」とした。
「産科の場合はいつ生まれるかの予想はつく。伊那中央病院も出産が多い月と、少ない月と季節変動がある」とし、4月から産科医が1人増えて5人体制となる中で「そこへ組み入れるのも可能と考えている」と述べ、上伊那広域連合で事務レベルでの検討を始めたことを明らかにした。
広域連合事務局によると、「特別な事情」の判断基準を伊那市など4市町の実務担当者で早急に作り、4月から運用できるよう検討を進めている。「特別な事情の判断は市町村が行い、広域連合は病院との調整をすることになるのではないか。木曽病院の紹介も考えられる」としている。
ただ、伊那中央での出産は上伊那地域の住民を最優先し、里帰り出産受け入れは原則中止する方針は堅持する見通しで、産科医のオーバーワークも指摘される中、現実的にどれだけ対応できるのかは未知数だ。