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2008/02/14 木

旧アイ・シー・エフの逮捕劇関連

ひとつ前のエントリーのコメントにお答えする形になりますが、一応触れておきますね。

旧アイ・シー・エフの件で昨日4名逮捕ということで、私の親しい田中さんも逮捕されました。逮捕という言葉は、それだけで有罪確定みたいな響きがあるのでよろしくないのですが、結論的にはシロになって戻ってくるはずです。

わざわざ私が書くまでもなく、この方面に詳しい方々のブログでもご指摘のように、M&Aの価格を算定する人は、買収先企業の将来計画が正しいかどうかの検証をするポジションにはなく、今回の件も、単にDCFのやり方を知らない人たちの代理として「計算機」、または「ソロバン」の役目をしただけですからね。会社側から渡される将来計画に基づいてDCFをまわしてあげただけ、ということです。

そもそも、M&A実行時に算出した金額が、後になってみるとその通りにはならなかったということはよくある話で、そのそれぞれの場合に算出者が罪に問われることはないわけです。世紀の大合併と言われた自動車メーカーのダイムラーとクライスラーのM&Aも、最終的にはクライスラーをタダ以下の値段でファンドに引き取ってもらうことになりましたが、クライスラーの数兆円規模の買収金額が吹き飛んでも、ダイムラーとクライスラーが経営統合をしたときの買収金額を算出した人が有罪になるわけはなくて。

もし、当事者とグルになってわざと法外な値段を算出して、その見返りとして何らかの金銭的供与を受けたのであれば当然悪いわけですが、株を受け取ったわけでもなく、不当な利益供与があったわけでもない状況で、悪者になりえないんですよね。今回強制捜査が入ったので、田中さんがそれらを受け取っていないことが自明になりますので、それで不起訴ということになると思います。

そもそも今回の買収金額は8億円と報道されていますが、この程度の規模の買収金額算出では、フィーは数十万円程度でしかなかったでしょう。それぐらいの金額のために自らのキャリアを犯してまで協力するはずがないですよね。

自らは悪者になりたくない本当の悪者が、田中さんに濡れ衣を着せて自らの罪を軽くしようとしているというのが構図と考えるのが妥当でしょう。

報道では容疑を認めるとかの報道もありますが、計算機になったことを認めているだけで、それ以外のことを認めているわけはないでしょう(ってか、認めようがない)。また、各新聞社、テレビ局で社会部の担当となっているようで、最初から悪と決め付けた報道になっていますが、報道が必ずしも正しくはないことを私たちはここ数年のこういう金融、経済事件で学びましたしね。

今回の件で、いろんな方面から連絡をいただきましたが(まるで私は田中さんのマネージャー状態・笑)、みなさんが一様に、「まあ、田中さんに限ってはないよね。大丈夫なんでしょ?」という反応だったので、まさに人徳だなあと思いました。

戻ってきたらみんなでお帰りなさいパーティでもしましょう。

今回の件は、私は田中さんと親しい中なので、何を書いても「結局は擁護でしかないじゃん」と言われるだろうなと思っていたので、何も書かないでおこうと思っていたのですが、書かないのも確かにどうかな、ということで、書いておきました。

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コメント

DCFでなくてデューデリをきちんとやらなかった、or経営陣の言いなりだったかが有罪かどうかの焦点かと。
新聞読む限りデューデリに問題があったのかと。

Posted by: sick : at 2008年02月14日 18:26

脅されて無理やり、等の理由で不起訴処分になることは充分考えられるかと思います。
ただ、直前まで債務超過だった会社をDCF法で価値算定して8億の価値があります!!と算定するのは、人格を持った会計士としてはいかがなものかと

Posted by: 素人 : at 2008年02月14日 20:42

DCFのやり方を知らない人たちといいますが、DCFってそんなに難しいですか?そもそも、田中容疑者じゃなくても算定書が書ける人なんて無数にいますが。

今回は怖い人絡みと言われており、警察も無罪にさせるわけはないと思います。それなりに万全を期していると思います。なにしろ、2年以上も捜査していたんだすから。菱和ライフクリエイトの無罪の件も意識しており、警察は相当慎重なはずです。警察も逮捕後に算定書の考え方が争点になることはわかっていると思います。少なくとも、別件で逮捕になってしまうのでは。

Posted by: 超ど素人 : at 2008年02月14日 23:17

債務超過の会社を8億のデューデリつけて株価操作の片棒を担いだってことで逮捕されたのでしょう。
単なる計算機が千万単位のマイナスを億単位のプラスに間違えたりするもんですかね。
よく考えれば分かることだと思うのですが。

Posted by: おいおい : at 2008年02月15日 12:12

私も友人なので、保田さんの意見に同感です。
とはいえ、奥様やご家族の方のご心労を思うと、心配ですが。
お帰りなさいパーティーの人数にはぜひ入れておいてください。

Posted by: しばさき : at 2008年02月15日 18:21

ニュースを読む限り、事前にある程度の金額をサポートするように指示されていたとか。正直これはよくある話ですが、あきらかに計画値の信憑性や財務状況から判断して高いValuationの場合プロとしては出すべきではないのではないでしょうか?これは上場会社との株式交換ですし、算定者なら取引の背景をある程度把握していたはず。これを悪意で算定書を出したとしたなら有罪でなくとも、プロ意識に欠けた行動と言わざるを得ないでしょう。
当時はさほどVluaitonを出すことの危機意識が業界全体で高くなかったように感じます。通常Valuation報告書にはDisclamerをつけて計画値等には自分に責任がない旨の記載をしていると思いますが、これで田中氏が有罪となれば、業界にとってはかなりインパクトになる話かと思います。

Posted by: 通りすがり : at 2008年02月16日 00:41

バリュエーション業務を受託するに際しては、依頼人のディールの目的や、依頼人の誠実性、依頼人と受託者自身の他の利害関係の有無を(公知されている情報などでできる限り)調べてから、業務受託の可否を検討するのが基本だと思います。
業務受託の契約書やバリュエーションの報告書で受託者の業務範囲や責任を限定しているにも係らず、バリュエーションの計算結果だけで逮捕されてはたまったもんじゃありませんが、新聞で報道されているインチキスキームを承知して業務を引受けたのであれば有罪でしょう。
まあ、最近の検察・警察は無茶苦茶やる所があるので(キャッツ事件で逮捕された会計士の例など)、大本営発表は全く信用できませんが、上記の点が有罪無罪の分かれ目かと思います。しかし、ICFって朝鮮総連事件で逮捕された緒方元公安調査庁長官が監査役やってたんですね!ビックリです!

Posted by: 時々MA業務やってる会計士 : at 2008年02月16日 12:28

私は学生時代からラグビーを通じて「曲がったことの嫌いな」彼をよく知っていますが、彼が何かに巻き込まれてしまったに違いないという思いです。私も投資銀行業務についておりますが、最近の流れとして、Disclaimer程度では全くヘッジにならない事実を当局検査等を通じて痛感しており、今回の件も大変心配です。

Posted by: ラグビー仲間 : at 2008年02月16日 13:45

このエントリーを見て、少しだけ安心。
結局当事者しかすべての事実は知りえないと思いますが
田中さんの誠実さを知っている者としては
無事戻ってこられることを祈るのみです。


Posted by: ono : at 2008年02月17日 06:12

保田さんのご意見を拝読すると なんとなーく
結論はシロですから っと、まるで断定しすぎた様な印象を受けました。

もちろん田中さんの人望の表れでしょうし。
きっと、信頼されるべく 素敵な方なんだろうと思います。

が、まだ捜査中。
あくまで結論は予測でしかない段階。。

すみません。ちょっと気になってしまったもので。

保田さんのご意見通りになるといいですねっ。

Posted by: 匿名 : at 2008年02月19日 23:30

うーん。些かこの記事をお書きになった方の(新興系)上場企業における企業買収の実態をご存知ないように思います。別にそれを否定するわけではありません。ただ、上記の見解はあまりにも机上の理論と申しましょうか、私から言わせると絵空事にしか聞こえないのです。評論家ですか?

アイシーエフに限らず、短期間で企業買収を繰り返すことにより、時価総額や企業価値の向上を目論む新興企業の現場は、皆さんがお考えになられているよりはるかに異常。

起訴なのか不起訴なのか。あるいは起訴猶予なのかは私にはわりません。そんなことは検察がこれから判断するでしょう。だけど、コメントされる前にもう少し実態を調べるべきだと思ってしまいました。

コメントが援護だとは思ってませんよ。それ以前の問題で知らなすぎだと言いたいだけです。

Posted by: うーん : at 2008年02月20日 14:42

慶應の付属から慶應大学、大学でも学業とラグビーを両立しながら公認会計士の資格をとる。実力や実績をつみたどり着いたのが、予想をはるかに越える華やかな世界、ライブドアの失敗を書籍出版という逆転の発想で成功を勝ち取る手腕、彼が一番欲していた名声、一般人を見下せる立場。彼の演説や論文は見事、しかしときとしてありあまる才能は危険な道へとつながる。

彼の才能をもとめる金儲けの亡者、この流れからにげきれなくなってしまった彼自体の体質。破滅への道。2度あることは3度・・

逮捕は事実・・大企業の社員ではあってはならない、手錠をはめられる逮捕。業界以外で親交がある人は一線をおかざるをえない。彼の話題はメールにならないほど禁句。擁護も批判もできない。そこまで信頼をおけない。

特別な親交のある業界人は彼を擁護せざるをえないほどのなにがあるのか。
同志としての心情、友情、いやありえない。ありえるはずがない。それだけでここまで早い反応はできない。

Posted by: 逮捕ということ : at 2008年02月27日 08:48

良い人柄と悪い行いは両立するときがあります
その人物がどんな人なのか悩んだときは、その人がしゃべる
内容ではなく行動に注目してください
似たような悪い行動がいくつか思いだせるならば、あるいは
悪いうわさを聞くようならば、その人物は間違いなく悪い人です
このような行動特性は詐欺師によく見受けられます
このような人は一緒にいると楽しいことが多いので、ついつい
一緒に遊んでしまいますが、利害関係を持つのは避けたほうが
よいでしょう
このような人は「イザ」という時に裏切ってきますから…

Posted by: 心理学 : at 2008年03月06日 09:06

田中さんが無事に不起訴で帰ってきました。
お帰りなさいパーティの準備しなきゃ。

Posted by: ちょう : at 2008年03月07日 10:34

一昨年のコーポレートファイナンスセミナーに参加させていただいた大学生の者です。
無事に不起訴ですか。やっぱりなー、そりゃあそうだろうと思われる所が田中さんのすごいとこですね
お帰りなさいパーティが楽しみですね

Posted by: とある大学生 : at 2008年03月07日 12:05

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