今年四月から勤務する医師が見つからず存廃の危機に直面していた鳥取県大山町今在家にある町営の大山診療所は、六日までに後任医師を確保するめどが付いた。現在、島根県奥出雲町で個人医院の副院長を務める男性医師(48)。ただし町は診療所を存続させるものの、医師の負担軽減などを理由に、やむなく入院施設を無くすことを決めた。
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4月から勤務する医師のめどが付いた大山診療所=6日、大山町今在家
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同診療所は、昨年九月まで四十代の医師が診察していたが十月に米子市内で開業。今月までの半年間は、かつて勤務していた七十代の医師が臨時的に引き受けている。この医師も高齢のため四月以降に勤務できる医師を探していたが難航し、関係者は頭を抱えていた。
四月から勤務予定の医師は、町のホームページで現状を知り「地域医療の力になろう」と手を挙げた。町によると、医師は少なくとも十年は診療所勤務を希望しており、予防医療に力を入れる考えもあるという。
これまでは、看護師と介護士のほかは医師一人が二十四時間体制で勤務。町によると、夜間の勤務体制を必要とする入院施設が後任医師を探す一番のネックになったという。入院患者は、三カ月を目安に退院か転院する。
同診療所を利用する同町佐摩の本田久枝さん(77)は「山間部なので、なかなか先生が来て下さらないのだと心配していた。先生が近くにいるだけで安心して励まされる」と胸をなで下ろした。