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代理出産:「原則禁止、臨床試験は容認」学術会議が報告書

 不妊夫婦の受精卵で他の女性に妊娠、出産してもらう代理出産について検討してきた日本学術会議の検討委員会(鴨下重彦委員長)は7日、「生殖補助医療法(仮称)」で原則禁止し、公的機関の管理下で試行(臨床試験)の実施を容認する報告書案をまとめた。営利目的の代理出産は処罰し、実施した医師、あっせん者、依頼者を処罰対象とした。

 報告書案は同会議幹事会で審議、承認後、検討を依頼していた厚生労働省と法務省に回答する。今後は国の対応が焦点になる。

 代理出産について、▽命にかかわる危険がある▽遺伝的につながりのない女性の胎内で発育することの胎児への影響が不明▽障害のある子が生まれた場合の対応などを当事者間の契約に任せることは困難--などとし、法律での禁止を求めた。

 03年に厚労省の部会がまとめた報告書は、すべての代理出産を罰則付きで禁止するとしたが、検討委は刑罰を科すのは営利目的に限定。処罰対象は、依頼夫婦は含めたが、代理出産を引き受けた女性は除外した。

 試行にあたっては公的運営機関の設立を提言。一定期間の試行で問題がなければ、法改正をして容認し、弊害が多ければ試行を中止するとした。生命倫理問題の重要性から、公的研究機関を創設、内閣府に常設の委員会も設置して対応するのが望ましいとした。

 生まれた子の母は出産した女性とし、依頼夫婦と養子縁組や特別養子縁組をすることは認めるとした。

 代理出産を含む生殖補助医療について国会で議論し、立法化に向けて国を挙げて動くことを求め、鴨下委員長は「誰もが100%満足する結論が出るとは思えないが、生命、性など根源的な問題を考えるきっかけになってほしい」と話した。

 代理出産をめぐっては、日本産科婦人科学会が03年、実施を禁止する会告を出した。しかし、諏訪マタニティークリニック(長野県下諏訪町)の根津八紘院長が実施するなど、混乱が続いている。【下桐実雅子、大場あい】

 ◇検討委・報告書案の骨子

▽代理出産は生殖補助医療法(仮称)のような新法での規制が必要。それに基づき原則禁止が望ましい。

▽営利目的の代理出産は処罰。対象は医師、あっせん者、依頼者。

▽医学的、倫理的、法的、社会的問題などに配慮し、対象を限定して厳重な管理の下に試行(臨床試験)を行うことが考えられる。

▽試行には、医療、福祉、法律、カウンセリングなどの専門家から成る公的運営機関を設立すべきだ。問題なければ法を改正して容認、弊害が多ければ試行を中止する。

▽代理出産者を母とする。

▽代理出産を依頼した夫婦と生まれた子については、養子か特別養子縁組で親子関係を定める。

▽生命倫理に関する問題は、公的研究機関を創設し、新たに内閣府に常設委員会を設置して政策を立案する。

毎日新聞 2008年3月7日 20時40分 (最終更新時間 3月7日 21時03分)

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