県諏訪保健所は6日夜、諏訪地域の産科医療の実情を知る目的で、諏訪地域産科医療問題検討会を立ち上げ、諏訪市の県諏訪合同庁舎で初会合を開いた。地域の産科医や保健所職員ら15人が出席。現状や課題を話し合い、医師側からは負担軽減に向け、助産師の育成が急務とする声が多数上がった。
検討会は現場の声を直接聞いて地域の産科医療の課題を把握し、解決策を探る狙いで開いた。分娩(ぶんべん)を取り扱う7施設、現在休止している2施設の関係者、寺井直樹所長ら保健所関係者が参加。「忌憚(きたん)ない意見を出してもらうため」(保健所)として非公開で行い、約1時間半にわたって意見交換した。
保健所によると、地域の現状について、医師からは「何とかお産できる状況だが、各施設ともぎりぎりの状況だ」と厳しい実情が報告された。
多くの施設から課題として挙がったのが、妊娠や出産のサポート、新生児の保健指導などに当たる助産師の不足。助産師が確保できれば、医師の負担を軽減することができるが、「募集しても集まらない」といった悩みが寄せられたという。
医師不足に対応するためには、助産師の育成が不可欠との訴えが多く聞かれ、看護師の助産師資格取得を促す必要性も挙げられた。また、育児などさまざまな事情で夜勤できない助産師が多いことから、当直勤務ができる人の確保も課題として提起された。
このほか、産科医を基幹病院に集める集約化については、一部から「賛成はできない」との声があったという。
検討会は、産科・小児科医療の集約化、重点化を打ち出した昨年3月の県の医療対策検討会の提言を受け、県が対応策を協議するため、10圏域ごとに設ける方針を示していた。同保健所は今後も必要に応じて検討会を開いたり、個別に意見や要望を聞く考えで、「地域の実情に合わせた対応策を考えていきたい」としている。