倉敷市・美観地区の倉敷川に残る江戸時代の「雁木（がんぎ）」を、市が伝統的建造物群等保存審議会（伝建審）への諮問や地元との協議をすることなく造り替えたとして、地元から反発の声が上がっている。住民らでつくる「倉敷伝建地区をまもり育てる会」は近く、事前協議と再発防止を求める意見書を市に提出する。

　雁木は、舟から荷揚げするために設けられた石段。伝建地区の工作物として登録され、美観地区の倉敷川には江戸期の建造とみられる７基が残る。

　市は、中橋そばの１基を２００６年度から観光川舟の発着場として活用。観光客の人気を呼ぶ一方、高齢者が不ぞろいの石組みにつまずき転倒して軽傷を負う事故も起き、川舟の運航を受託している倉敷観光コンベンションビューローの要請で、市は利用者の安全のため今年２月、約６０万円かけて１０段ある石組みの上から８段を御影石製の新しいものに替えた。

　この工事が文化財の現状変更に当たるとして、事後に知った同会理事らが反発。５日夜の理事会では、「今からでも伝建審に諮問すべきだ」などの意見が相次ぎ、同席した市教委文化財保護課の担当者は「認識の甘さがあった」と陳謝した。