成人年齢を20歳から18歳に引き下げる民法改正の是非を議論する法制審議会・成年年齢部会について、鳩山邦夫法相は7日の閣議後会見で「私が押し付けるわけにはいかないが、国民的大議論が期待されるテーマ。従来の議事録でいいのか検討してほしい」と述べ、現在は発言者が記載されていない議事録の見直しを要請した。法相が諮問機関に注文を付けるのは極めて異例で、法制審の対応が注目される。
法務省によると、法制審総会が98年に決めた議事規則に基づき、議事そのものは公開せず、発言者を伏せた議事録が法務省のホームページなどで公開されている。ただ、他省庁の審議会議事録で発言者が非公開になっているケースは極めて少なく、日本弁護士連合会などから透明性の低さが批判されてきた。
これに対し、法務省は04年11月の衆院法務委員会で「部会の性質によっては、外部からの圧力等の恐れがある」と非公開とする理由を説明した。今回、鳩山法相が要請した対象も成年年齢部会に限定しており、議事規則自体の見直しを求める内容ではない。
法制審委員を務めたことのある岩田研二郎弁護士(大阪弁護士会副会長)は「政策論議の理解や検証には発言者名が欠かせないが、法制審は情報公開が最も遅れていると感じる。法相発言を機にほかの部会でも公開を検討していくべきだ」と話している。【坂本高志】
▽法制審議会 法務省組織令に基づき1949年に設置された。法相の諮問に応じて刑事法、民事法や法務行政に関する基本的事項を調査審議する。学者、裁判官、検察官、弁護士、企業幹部ら委員20人で親委員会を構成し、その下にテーマ別の部会が設置される。現在、審議中の部会は成人年齢のほか、信託法部会や受刑者を減らすための被収容人員適正化方策に関する部会などが設置されている。
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