【ロンドン=木村正人】英国のスミス内相は6日、指紋や顔写真など生体認証(バイオメトリックス)情報が組み込まれた電子身分証明カード(IDカード)を今年11月から段階的に導入する方針を発表した。2017年の全面実施を目指している。テロ対策や不法移民対策を強化するのが狙いだが、市民団体は「人権侵害だ」と反発している。
内相の発表によると、11〜12年から16歳以上のパスポート申請者はすべて生年月日、住所のほか、指紋や顔写真などの個人情報を国民識別情報登録データベースに登録する。このほか、(1)今年11月以降、欧州連合(EU)外からの移民を対象にIDカードを発行(2)来年から、特別な警戒を要する空港で働く条件として英国民やEU内からの移民計20万人にIDカードの取得を義務化(3)10年以降、銀行口座を開設する学生に取得を促進(4)11〜12年から生体認証付きパスポートを発行する際、取得を選択−などの手順でIDカードの普及に努める。
日本人については、ビザが不要な観光目的の短期滞在者はIDカードの対象外という。
内相は「15年までに移民の9割がIDカードを携帯するようにするのが狙い」と話した。
英政府は当初、08年中に英国民にIDカードを発行し、10年に広く普及させる予定だったが、昨年、個人情報紛失事件が相次ぎ、計画の大幅修正を余儀なくされた。フランスは9割以上がIDカードを携帯しているが、それ以外の国はIDカードの導入には慎重だ。
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