“教授”こと坂本龍一自身が久々のソロ・マキシ・シングル
『koko』をリリースする。教授自身も出演した“ゆうちょ”年賀キャンペーンCM、その後ろに流れていた印象的なピアノ曲、一聴するだけですぐに教授だと分かるあの曲である。
この楽曲、2007年末のCMオンエア当初からリリースに関する問い合わせが寄せられるほどの反響を呼び、今回はその要望に応える形でのCDリリースが実現した。
収録曲は計3曲。タイトルトラック「koko」、カップリングは昨年共作アルバムをリリースしたフェネス+サカモトによる「ropa」。そしてもう一曲、日本テレビ55周年記念企画“ルノワール+ルノワール”展に使われた「dancing in the sky」が追加収録。最近TVで流された教授の“あの曲”が全て収録されたお得盤となっている。
興味深いのは、このシングルが
カーボンオフセットCDであるということ。カーボンオフとは、人間の活動によって排出されるカーボン(二酸化炭素=CO2)をオフセット(相殺)するための森づくり、自然エネルギーの利用を指す。今回のこのシングル「koko」では、坂本龍一本人が代表理事を務める
モア・トゥリーズにより、レコーディングやディスク制作のために排出されたCO2を回収する仕組みが作られた。
▲カーボンオフセットの証として、CDジャケットにはこのロゴマークが記される。 概算によると、CDシングルが排出するCO2は、CD1枚あたり約3kg(!)。森林のCO2の吸収量は、1ヘクタールでようやく年間当たり10,000kg。日本で日々生産されるCDだけでも膨大なタイトル・枚数になるわけで、これらCO2を吸収するためには文字通りに膨大な森林が必要になることがおわかりになるだろう。
▲森林整備対象地(高知県梼原町) この「koko」は、カーボンオフセットCDとして、売り上げの一部を高知県梼原町の森での植林のために使い、排出されたCO2を自ら回収するほぼ初めての試みである。
地球温暖化による異常気象が一般市民レベルでも痛感される昨今、音楽としてはもちろん、「エコ」を見据えた今後のビジネスモデルの提案としても興味深い。
なお、このシングルと同時に、同じく教授のDVD
『PLAYING THE PIANO / 05』もリリースされる。こちらは05年に行われた6年振りのピアノ・ソロ・コンサートで収録された“坂本龍一ピアノ・ベスト”とも言える内容。代表曲を網羅したこちらにも注目したい。
お問い合わせ:
commmons(コモンズ)
http://www.commmons.com/モア・トゥリーズ
http://www.more-trees.org/取材/熊谷朋哉