国立病院機構弘前病院(五十嵐勝朗院長)の病棟建て替えが、国立病院機構本部から6日までに認められた。新病棟はこれまで東と西、南の3棟あった病棟を7階建て1棟にまとめ、母子センターには分(ぶん)娩(べん)もできる特別個室LDRを設置するなど、より広く、機能も充実した快適な療養環境となる。着工は2008年12月で、稼働は09年12月を予定している。

 弘前病院は16診療科を有し、病床数は342床。専門医療施設として、がん医療や成育医療を担い、エイズ治療や被ばく医療といった高度な分野も担当。2次救急病院など、地域医療の一翼を担っている。
 現在の病棟は築40年以上で老朽化が進み、耐震の危険性を指摘された上、診療への影響も出ており、長年建て替えの希望を持っていた。同病院は05年12月、国立病院機構本部に病棟建て替え償還計画を正式に提出したが、財政状況などから認められなかった。
 その後も申請を続け、06年度、経営努力により同病院として初めて黒字決算となり、今後も右肩上がりとなることを見込まれ、今月5日、正式に建て替えが認められた。建て替え費は約32億円で、償還期間は11年から24年間。
 建て替え整備計画案によると、新病棟は現在の付属看護学校の位置に建設。7階建てで延べ床面積は1万1792平方メートル。1階に手術部、2階に母子センター、3階から7階までを一般病棟(各60床)とし、手術部を除く病棟延べ床面積は9957平方メートルで現在より広くなる。
 機能として、集中治療室(ICU)を2床増やし、母子センターには分娩もできる特別個室LDR2部屋を新設し、充実を図る。病室は1人部屋と4人部屋とし、各部屋にトイレを設置。有料個室を10床から83床に増やし、DVDプレーヤーなどを備え付ける予定。
 新病棟建て替えにより、現在の東と西、南の3病棟は解体する。すでに補助金で建て替えの進む付属看護学校は来年度完成予定。同病院は今後外来診療管理棟など、順次建て替えを進めたいとしている。五十嵐院長は「やっと認めてもらえた。これまでの安心・安全に安寧を加え、病院としての機能を果たしていく」と話した。
【写真説明】老朽化などにより、建て替えられる国立病院機構弘前病院の病棟