2008年3月7日 [金]
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介護労働者の賃金、全国比で最低

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介護労働者の賃金、全国比で最低

 超高齢化社会が進展する中、人材の安定確保が望まれる介護労働者の低賃金や離職の多さが問題となっているが、県内の介護サービス施設従事者(月給者)の月平均賃金は18万5千円余で全国一低く、従事者の年間増加割合を表す増加率も2・0%で全国で最も低いことが介護労働安定センターの調べで分かった。
 従事者の「現在の悩み」は「仕事の内容の割に賃金が低い」が32・4%(複数回答)で最も多かった。県内で人材確保に大きな課題があることが浮き彫りになり、超高齢社会へ不安材料を示した形だ。
 県内のある事業者は「厳しい仕事の割に賃金が安いため福祉の理念とのギャップに悩まされ、主に若い人に早く辞める人が増えている」と指摘している。
 調査は2006年秋に全国の事業所を対象に実施し1万1627事業所(回答率32%)から回答を得た。その結果、沖縄の月給者の平均賃金は18万5788円で、全国の21万3837円より約2万8000円低かった。全従事者の30・2%を占める非正社員の平均時給は1158円で全国平均より26円低かった。
 1年前の従事者数に占める離職者数の割合を示す離職率は17・9%と、全国の20・3%よりもやや低いが、採用者数の割合を示す採用率は全国平均29・0%より大幅に低い19・8%で、全国一低かった。このため1年間で増えた従事者数の割合を示す増加率は、全国の8・7%より大幅に低い2・0%で、これも最も低かった。
 本島南部にある小規模事業所のある経営者は「給与は利益に応じてしか決められない」と利用者が少ない小規模事業所の厳しい経営事情を語った。その上で「大規模事業所は利用者が多く給与を厚くできるが沖縄は全体的に賃金が安いため、周囲に合わせて安くしている。労働者より経営者の利益を重視する傾向がある」と指摘した。
 ある従事者の女性(56)は「経営者と従事者の意識のギャップが大きく、ボランティア精神がないとできない仕事だ。人を好きでないと続かない。若い人はお金を求める傾向があり、自分に合わないと言って辞める人が多い」と話した。
 介護労働安定センター県支部では国から補助を受け、昨年5月から失業者を対象に介護職員基礎研修を実施。20代から60代の幅広い年齢層の受講者に対し、就職面接会を開くなど介護労働者を“掘り起こし”、人材の安定確保に努めている。
(新垣毅)

<ニュース用語>介護労働者
 介護保険制度の創設などにより全国の高齢者関連サービス従事者の伸びは著しく、1993年の約17万人から2005年には197万人へと12倍増えた。厚生労働省は高齢化の進行に伴い、今後10年間に約40万―60万人確保が必要としており、全労働人口に占める割合も04年の約1・5%からその10年後には約2・1―2・4%まで増えると見込んでいる。ただ低賃金などの影響で離職者が多い。このため外国人労働者の受け入れは不可避との指摘もある。

(3/7 9:51)

 
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