◇唯一の診療所、影響深刻
厚生労働省は、医療機関の診療報酬明細書(レセプト)を原則11年度からコンピューターを使ったオンライン請求に切り替えるよう義務付ける。県保険医協会(千々岩秀夫会長)は6日、離島にある病院や診療所にオンライン化への対応をアンケート調査した結果を発表。その結果、診療所では「対応できる」との回答は4割弱にとどまり、オンライン化後も「島に残る」との回答は半分しかなかったことが分かった。
アンケートは1~2月に実施し、離島の123医療機関のうち14病院、66診療所が回答した。オンライン化対応の可否は、病院では大半が「できる」と回答したが、診療所では24所(36・4%)のみ。「できない」8所(12・1%)▽「分からない」32所(48・5%)だった。島に残るかは「残る」33所▽「本土に移る」1所▽「分からない」22所。
オンライン化後に「開業医を辞める」と答えた診療所は4所。「今の経営状態では後継者に『帰って来い』とは言えないし、帰っても来ない」という切実な意見もあった。
同協会は「割合の問題でなく、離島にとってはただ一人の医師が貴重な存在。深刻な影響をもたらすことが予想される」と話す。
同協会によると、オンライン化には新たなコンピューターかソフトを購入し、ブロードバンド回線を整備するための数百万円の初期投資が必要。システムに習熟した事務員も雇用する必要があり、離島はその人材が乏しい。【錦織祐一】
〔長崎版〕
毎日新聞 2008年3月7日