佐賀市水ケ江の県立病院「好生館」が、4月から通常出産の取り扱いを休診することが6日、分かった。現在3人の産婦人科医が2人になるためで、胎児の疾患に伴って出産時の手術が必要な場合だけ出産を受け付けるという。県は「通常出産は地域の開業医で」として医療機関の役割分担を強調するが、医師不足が背景にあるだけに、県内の医療環境整備に向けた抜本的な対策が求められている。
同日あった県議会の質疑で県側が明らかにした。県健康福祉本部によると、好生館の産婦人科は、年間100~150件の出産を、佐賀、九州両大学から派遣された計3人の医師で担当。
しかし医師不足のあおりで、佐賀大が08年度から派遣医を2人から1人に減らすことを決定。医師2人となった場合、従来通り出産を取り扱うことは困難と判断したという。
好生館は県内の出産関係医療で、国立佐賀病院に次ぐ中核的役割を担う医療機関。
胎児の消化器や呼吸器などに疾患があることが分かっている場合の対応をすることになっているといい、今回の休診では、この機能と子宮がんなどに対処する婦人科機能のみを残す。
佐賀市を中心とした県中部の出生数は06年で3108人。出産を扱っている病院、医院は計14カ所あり、1機関あたり平均で年間220件以上を扱っている計算になる。県は、好生館が休診しても、その分を他の医療機関でカバーできるとみている。
佐藤敏行・同本部長は「通常出産を復活できるよう、今後も医師確保に努めたい」と話した。【上田泰嗣】
毎日新聞 2008年3月7日