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有馬祐一さん死去:日本人としての誇り胸に 中国残留孤児兵庫訴訟原告 /兵庫

 中国残留孤児兵庫訴訟原告の有馬祐一さん=明石市=が16日、脳こうそくなどのため死去した。64歳だった。18日に同市内で葬儀があり、長男龍夫さん(44)は「父は、残留孤児が日本人としての権利を勝ち取るための闘いを、天国から応援しています」と語った。

 兵庫訴訟の1審・神戸地裁判決(06年)は、国が残留孤児の早期帰国を妨げ、帰国後の自立支援策も不十分だったとして、国の責任を初めて認めた。それを機に、国も支援策の見直しを迫られ、昨年、国民年金の満額支給(月6万6000円)などを盛り込んだ改正中国残留邦人支援法が成立した。

 有馬さんは88年に44歳で帰国した。肉親が見つからず、建設現場などで働いたが、日本語が話せないためいじめられた。体を壊して生活保護を受けるようになったが、「日本語が話せない自分と同じ苦労をさせたくない」と、借金をして子どもを進学させた。その借金を返すために働いたことが行政に知られ、生活保護費から学費分を返済させられた。

 有馬さんは昨年3月、支援策作りのために厚生労働省が行ったヒアリングに、関西の孤児代表として参加。「残り少ない老後を日本人として祖国で胸を張って生きたい」と訴えた。有馬さんの長女久美子さん(38)は「日本人としての誇りを持ち、家族思いの父だった。無念だ」と語った。【樋口岳大】

〔阪神版〕

毎日新聞 2008年2月20日

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