認知症の診断を行っている診療部門の約4割は「内科」であることが、都が都内の認知症専門医療機関を対象に実施した調査で分かった。かかりつけ医との連携を「行っていない」専門機関が4割弱ある実態も浮かんだ。都福祉保健局は、「内科は開業医にも多く、身近なかかりつけ医が認知症患者を支える主体となりうることが分かった。専門機関との連携を強化すれば、より高度な診察も可能になる」と分析している。
調査は、認知症の診療体制の把握を目的に昨年8月20日~10月26日、都内の病院と診療所計1015機関に郵送形式で行い、「認知症患者に対応している」と回答した408機関について分析した。
認知症の「診断・治療」を行う機関はこのうち338カ所で、診断を行う診療科を尋ねたところ(複数回答あり)、「神経内科」が144(42・6%)でトップ。わずかの差で「内科」の141(41・7%)が続いた。「精神科」は122(36・1%)だった。
また、外来診療に当たる頻度について、「毎日」と答えた機関が137(40・5%)、「毎週」が112(33・1%)で、約7割で認知症の常時医療体制が整っていることがうかがえるという。予約などを取らずに直接来院可能な機関も194(57・4%)あり、患者が集中する一部の有名病院を除けば、比較的すぐに診察が受けられる状況だという。
地域のかかりつけ医との連携については、408機関のうち、かかりつけ医からの▽「確定診断の依頼に応じている」は127(31・1%)▽「薬の処方の依頼に応じている」は91(22・3%)。逆にかかりつけ医に対し「定期的な処方の依頼や経過観察を依頼している」も65(15・9%)にとどまった。連携を「行っていない」が154(37・7%)と最多で、両者の連携が必ずしも十分でないとしている。
同局在宅支援課は、「かかりつけ医を拠点として、認知症の患者を支える体制を作り、高度な診断などは、専門機関との協力で行う仕組みが理想的ではないか。調査の結果を今後の施策にも役立てていきたい」と話している。【窪田弘由記】
毎日新聞 2008年3月7日