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社保庁にチェックの発想なし 総務省が歴代長官の聴取メモ公表
このニュースのトピックス:年金問題
総務省は6日、年金記録問題検証委員会(松尾邦弘座長)が行った社会保険庁長官経験者3人に聞き取り調査について、松尾座長の備忘録をもとに作成した要点メモを公表した。この中で、基礎年金番号導入時に長官を務めていた佐々木典夫氏は、宙に浮いた記録5000万件について、「未統合記録が大量にあるとの認識はなかった」と述べ、当時の社保庁幹部がオンラインシステムへ入力ミスしていた可能性を認識していなかったことを明らかにした。
聞き取り調査は、佐々木氏、村瀬清司前長官、真野章元長官の3人に行われた。検証委員会は、議事録や発言メモを残していなかったため、民主党の長妻昭政調会長代理が衆院予算委員会で批判。発言要旨をまとめた要点メモを提出した。
要点メモによると、佐々木氏は、年金記録紛失問題を招いた要因について、「非常にショックだったのは、基礎年金番号の導入に関し、過去記録の整理は受給者については照会しなかったが、受給年齢の人の記録が5000万件に入っていることだ」とした上で、「裁定を受けた人は問題がないと考え、疑っていなかった」と認めた。当時、社保庁には、受給者分をチェックをする発想自体がなかったことを裏付けた形だ。
村瀬氏は、社保庁の職員組合について、「平成16年7月に長官に就任して、8月には自治労国費評議会から改革に全面的に賛成と言ってきた。当時既にさまざまな社保庁批判が出ていたので、抵抗勢力にならないようにしたのだと思う」と述べ、労組側から協力の申し出があったことを明らかにした。
一方、長妻氏は6日、要点メモの内容について、都内で記者団に、「記録に不備があるから基礎年金番号を導入したのに、導入時の長官である佐々木氏が記録不備の存在を知らないのはおかしい」と批判した。