毎日の短いことばでも、瞑想して人生の意味を深く味わうために、トルストイ自身が自分の生涯の業績はこれのみで十分、と言ったほど精魂かたむけて記した365日のことば
訳者「あとがき」より
ここに訳出した『ことばの日めくり』は、吹雪でとざされたアスターポヴォの寒駅で息を引き取るまで、その校正刷を手放さなかったと言われる、古今東西の聖賢哲人の思想の精華の集大成である。テキストは、トルストイの目にふれたかぎりの偉大な先人たちの簡にして要をえた不滅の金言とトルストイの言葉を、一年、365日に系統的に配分し、7日目ごとに、その週のしめくくりとして「週末の読みもの」にふさわしい短編を添付した膨大なもので、80年生涯をついやして最後に到達したトルストイの信念を図式化したものである。
もとより、これは全訳してそのままの形で読者の前に提示して、読者の判断にすべてをお任せするのが訳者の義務であり、最も望ましいことであるにはちがいないが、なにぶんにも大部なものなので、トルストイの言葉だけに限定して適宜抜粋して形をととのえることにした。